日本ではできないことをするというのが旅のひとつの醍醐味ですが、他人との接触が禁じられ、すべてが寄付でまかなわれるという瞑想修行を体験してきました。
ナマステー、世界一周中のShimoです。
旅をしていると、様々な国の旅人仲間で情報交換が頻繁に行われます。「どこの国のあの料理が美味しかった」、「こんな絶景を見た」等が共有されます。今回、僕はその中でも特に興味を持ったヴィパッサナー瞑想に参加してきました!今回の記事ではセンターと1日の流れを紹介してゆきます。
ヴィパッサナー瞑想とは?
日本では瞑想の事を知る機会は少なかったのですが、旅人との会話の中で時折耳にするヴィパッサナー瞑想に関する情報は、10日間無言を守り、他人と接触せず、午後はお菓子のみの食事、そして一番のインパクトは全てが寄付金でまかなわれている為、滞在費は最終日に自分が思うだけの寄付金を残すというものでした。なるほど、最後の情報だけでバックパッカーが飛びつく気持ちがわかります。
ヴィパッサナー瞑想のサイトを調べてみると、
物事をありのままに観る、という意味があるヴィパッサナー (Vipassana) は、インドで最も古い瞑想法のひとつです。2500 年以上前にゴーダマ・ブッダによって再発見され、あらゆる病を治癒する普遍的な解決法、 生きる技として多くの人に伝えられました。 宗教を持たないこの技術は、あらゆる心の汚濁を取り除き、解脱という究極の目的を目指しています。「癒し」の目的は、単に病を治すだけではなく、人類の苦悩を取り除くことにあります。
ヴィパッサナー瞑想より引用
との説明があり、日本では釈迦としておなじみ、ゴーダマ・ブッダが行っていた瞑想法だと知り、とても興味を持ちました。
瞑想へ最後に背中を押したのは、4ヶ月程滞在していて慣れ親しんだ東南アジアを離れ、ひったくりや詐欺の話をよく聞くインドを旅をする事が、正直、少しばかり怖かったという事です。おしゃべりでよく食べる僕は、大きな不安を抱えながら予約を完了させました…。
瞑想センターの紹介
瞑想センターは世界の至る所にあるのですが、僕が今回選んだのはKanpur International Vipassana Meditation Centre(地図)というセンターです。
名前にInternationalと付いていますが外国籍の生徒は僕を含めて3人で、20人弱のインド人と共に参加しました。僕が参加した時期はディワリと呼ばれるインドの新年のお祭りだった為、参加人数は少なかったようです。いつもは60人弱程参加するとの事でした。
旅行客のいなそうな静かな所を選びましたが、まさしくインドの片田舎で両サイドに何もない道をひたすら、タクシーで進みます。
周りに何もない草原の中にいきなり施設の門が現れた時、ついに瞑想の10日間が明日から始まるのかとちょっと落ち込みました…。
先に10日間の瞑想修行と記載しましたが、前後1日は手続きやオリエンテーションなどがあるため、計12日間の日程となります。初日に紙やペン、本、電子機器などをこちらのオフィスに提出し保管してもらいます。なお今回掲載している写真は初日と最終日に撮影したものです。
施設はとても広く、緑も多いためリラックスする事ができます。こちらの写真は男子寮で60程の個室が用意されています。
ベッドにはまさかの蚊帳も用意されています。インドでこのレベルの宿に泊まるには相場の倍以上のお金を払わなければなりません。明日からの瞑想修行の事を忘れ、テンションがあがってゆきます!
しかし部屋を出れば扉や壁には、これから先に出るなとの警告が…。小さく書かれたBE HAPPY!の文字にどことなく恐怖を感じます…。
施設を囲う6m程の壁の上には有刺鉄線が張り巡らされ、更にガラスの破片がちりばめられ、外からの動物の侵入を拒みつつ、生徒の脱走を阻止する役目も果たしています。
後からインド人の生徒に聞いてみると、こちらのセンターは綺麗で静かなセンターとしてインド人の中では人気の施設でした。
1日のスケジュール
瞑想修行期間中の1日は4時の起床から始まります。
写真では見づらいですが、スケジュールは以下の流れで過ぎてゆきます。次の予定が始まる5分程前に、ボランティアスタッフの方が鐘と鈴を鳴らして教えてくれます。
午前4時: |
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起床 |
午前4時30分~6時30分: |
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ホールまたは自分の部屋で瞑想 |
午前6時30分~8時: |
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朝食と休憩 |
午前8時~9時: |
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ホールにてグループ瞑想 |
午前9時~11時: |
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ホールまたは自分の部屋で瞑想 |
午前11時~12時*: |
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昼食 |
午後12時~1時: |
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休憩および指導者への質問 |
午後1時~2時30分: |
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ホールまたは自分の部屋で瞑想 |
午後2時30分~3時30分: |
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ホールにてグループ瞑想 |
午後3時30分~5時: |
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ホールまたは自分の部屋で瞑想 |
午後5時~6時: |
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ティータイム |
午後6時~7時: |
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ホールにてグループ瞑想 |
午後7時~8時15分: |
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講話 |
午後8時15分~9時: |
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ホールにてグループ瞑想 |
午後9時~9時30分: |
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ホールにて質問 |
午後9時30分: |
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就寝 |
午前4時~6時30分 個人瞑想
瞑想ホール内は撮影NGでしたが、こちらの建物が瞑想ホールです。ここで朝から2時間の個人瞑想を行います。
午前6時30分〜8時 朝食
朝の2時間の瞑想を終えると、お待ちかねの朝ご飯です。瞑想期間中は瞑想ホール以外では女性と男性の生活スペースは分かれています。食堂も壁で隔てられており、この壁の向こうが女性の食堂です。
食事は全てベジタリアンメニュー。日替わりで飽きませんし、ビュッフェ形式であるため好きなだけ取る事ができます。しかし食べ過ぎても後の瞑想に集中する事ができないので控えめに取りました。写真はオリエンテーションの日の食事の為多めに食べましたが、瞑想修行中はこの半分程度を毎回食べていました。
食事後は個別になったシンクで自分の食器を洗います。こういった所にも瞑想期間中は他人と接触を禁じられていることが現れています。
午前8時~9時 グループ瞑想
朝ご飯の後は、Group Sittingと呼ばれる参加生徒と先生とのグループ瞑想を行います。内容としては、ヴィパッサナー瞑想を世界に広めたゴエンカ氏の肉声オーディオで(ヒンディー語と英語が交互に流される)瞑想法について学び、そして実践的に取り組みます。
このグループ瞑想は1日に3度あり、ここで瞑想について学び、個人瞑想の時間で練習するというのが基本的なサイクルになります。
10日間のうち3日半を鼻呼吸に集中する瞑想、6日半を身体に起こる感覚を観察するヴィパッサナー瞑想に費やします。後半のヴィパッサナー瞑想からはパゴダと呼ばれる写真の建物の中に、2m四方程の瞑想室が用意され、ここを利用して瞑想することができました。パゴダ内には140もの個室があり、上層階には複数回瞑想に参加している生徒や先生の為の特別な瞑想室もあるそうです。
午後7時~8時15分 講話
個人瞑想とグループ瞑想を1日10時間行った後は、ゴエンカ氏による(ビデオ)ヴィパッサナー瞑想の歴史や内容、思考法など様々な講話を毎晩1時間半程聞きます。どのように瞑想に取り組むべきか、なぜ瞑想をした方が良いのか等を体系的に説明されます。
こちらの講話は、ゴエンカ氏の英語のなまりもあって3割程度しか理解できなかったです…。はじめての瞑想だったので正しく理解したかった為、3日目からは日本語翻訳のオーディオを聞くことにしました。
講話が終わった後、軽めの30分瞑想を行い、先生への質問事項が無い場合は午後9時に自室に向かい就寝します。
10日間の修行を終えて
はじめの4日間は1時間の瞑想中、常にモゾモゾと姿勢を変え続けるなど集中する事が難しかったです。しかし、いつもは落ち着きが一切ない僕でも、瞑想を重ねることで、姿勢を変えず1時間座禅を組む事ができるようになり、苦で無くなりました。10日間の修行を終えた時には心地よい落ち着きやリフレッシュしたことを感じる事ができました。
これまで4ヶ月間旅をしてきましたが、正直、疲れていることが多いです。衣食住が安定しない僕たちバックパッカーは気がつかない内にストレスがかかっているのかもしれません。見知らぬ土地を移動し、牢獄のような宿に宿泊し、不衛生な食事でおなかを壊すことは日常茶飯事です。
僕はそういった非日常や自由に流れてゆくことを旅の醍醐味だと感じていましたが、やはり考え方が凝り固まる事もあります。現地の人に話しかけられれば詐欺を警戒し、食事をごちそうしてくれると言われると睡眠薬が入っていないか不安になる事も多々あり、人の優しさですら疑ってしまうようになっていました。
そういった中、10日間の安定した生活を得、落ち着いた心で瞑想に臨むことができ、そこでの教えにより考えが柔軟になりました。現地の人との会話やつながりを素直に受け入れること、目の前に広がる景色の中でゆっくりと過ごすこと等の旅の楽しみを思い出すことができました。
日本にも瞑想センターがある
今回の記事ではあえて瞑想の内容には踏み込んでいません。それは僕がヴィパッサナー瞑想の初心者で、誤った情報を皆さんにお伝えしてはいけないと考えたからです。もしこの記事を読まれて興味をもたれた方は、世界各国にセンターはあるので参加されてみてはいかがでしょうか。もちろん日本にもセンターがありますよ!詳しくは日本ヴィパッサナー教会のWEBサイトからご確認下さい。
文・写真:Shimo
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