チャンピオンになるべくバングラデシュで卓球の試合をしてみたら、思いがけず、バングラデシュという国、スポーツの素晴らしさを確認することになったのでした。
バングラで一番強いのは僕?
こんにちは。旅する理科教師ぞーしきです。
実は、僕は高校時代に全国高校卓球選抜大会に出場した経験があります。そして、バングラデシュ滞在時にこの国が卓球世界ランキングワースト2位という事実を知りました(ITTF Team Ranking 2014年4月を参照)。これは……
チャンピオンになれるのではないか?
「一国の頂点に立つ」というのはスポーツをしている者なら一度は夢見ること……。そんな今思えば恥ずかしい「妄想」を抱いた僕は、地元の人と卓球の試合をすることにしました。道場破りってやつです。
果たし状を送る
決意はしたものの、実際にどこで卓球が行われているのかわかりません。そんな時は、Goole検索に頼りましょう。
「Bangladesh Table Tennis」で検索すると一番上にBangladesh Table Tennis Federationのフェイスブックページが表示されました。これはラッキー!
どうやら、卓球好きが集まる地元のコミュニティーページのようです。FBページなのでメッセージを送ることも可能です。早速送ってみました。
すると、数日後に場所と時間が記入された返信が来ました。さすが、バングラデシュ!外国人へのホスピタリティ精神が豊富です。こちらが道場破りをしようとしていることも知らずに……。
いざ、決戦の舞台へ
指定された場所は首都ダッカのBangabandhu National Stadiumです。wikipediaによると、「バングラデシュの国立競技場である」とあります!チャンピオンを決めるこれ以上ない舞台!幸いにも、泊まっていたホテルから歩いて5分ほどの所でした。
ここがスタジアムの入り口です。ゲート3のマークが見えます。とても広い施設で、卓球だけでなくあらゆるスポーツの練習場が併設しておりました。
ここはハンドボールのスタジアムです。テニスも数コート設置してあるらしく、敷地の大きさは計り知れませんでした。
人に聞きながら、何とか卓球場まで辿り着きました。奥に見える白い建物でした。
現れたのはイケメン大学院生
中に入ると、バングラデシュとは思えない程の立派な施設でした。コートはバドミントンと共用で、奥に仕切られたスペースが卓球のエリアです。手前のバドミントンエリアでは、お爺さんが高校生に自分の持つ技を伝授していました。
卓球台やフェンスも目新しく、どんな野ざらしでプレーをするのかと思っていた僕は、ワクワクが止まりませんでした。
卓球台は3台ありました。ちなみに、周りを囲むフェンスに描かれたロゴは銀行のものです。
指定された時間から遅れること1時間、爽やかなイケメンバングラデシュ人が登場しました。世界的にイケメンプレーヤーが増え、卓球のイメージが明るくなることを切に願っております。
彼は大学院で会計学を学んでいるサニーです。卓球は大学から始めたとのこと。日本のようにどの学校にも当たり前のように卓球台があるなんてことは、アジアの最貧国であるバングラデシュでは皆無です。(バングラデシュの中学高校の様子はこちら)。大学で卓球に出会うのが一般的なようです。
卓球は高級スポーツ
彼は言います。「卓球をするには用具を揃えないといけない。でも、それらは自国で生産していないので海外から輸入したものだ。当然高価なのでバングラデシュで卓球は普及しないんだよ」。
彼が使っていた用具は、表向きは日本のものと変わりませんが……
賃金はアジア最安水準、月収約4000円からのバングラデシュ人にとってラケットとラバー合わせて数万円する用具を手に入れるのは、一部の富裕層でないと難しいでしょう。
日本VSバングラデシュ
その後、サニーの練習パートナー(左)も到着しました。この日はラマダーンの前日という事もあり、この2人しか来ないようです。練習中の技術を見たところ……思った以上にやりますね!でもこっちは日本全国出場レベル、高みの見物と行きましょう。
そして、とうとう一戦を交えます。僕は用具を持っていないので、トレッキングシューズに2人から借りたラケットを使用しました。果たして、これくらいのハンデで足りるでしょうか?
さあ、アップも終え、試合が始まりました。はじめは、僕の得意なサーブが効き、みるみる内に点差が開き僕の有利な展開で試合が運びました。
しかし、次第にそのサーブにも慣れられ、レシーブが際どい所に返って来ます。予想外の出来事に焦った僕は、最後まで体勢が立て直せませんでした。結果、サニーとの試合は1勝2敗と負け越しました。(笑)
言語を超えてコミュニケーションを取る
試合をしてみて、世界ワースト2位というのはあくまでプロの世界だけだという事がわかりました。アマチュア同士の交流としての卓球の技術は事欠くことなく、むしろ僕の方が弱かったです。準備不足だったという事にしておいてください。(笑)サニーに聞いたところ、バングラデシュで一番強い選手は歯医者を生業としているようで、その合間に卓球を練習しているようです。
最初は道場破りなどと息巻いていましたが、この試合を通して、スポーツの偉大さを再確認しました。普段、僕らは国に所属しているだけで先進国や後進国など上下の関係に分類されます。しかし、コートの上に立つとそのスポーツのルールにによって結ばれる平等な関係になることができます。それ故、僕は試合後の帰り道にこの旅で一番の清々しさを感じました。もしかしたら、スポーツによる勝ち負けは上下を決める訳でなく平等な関係を確認できる方法なのかもしれません。
文・写真:ぞーしき
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