世界各地で味噌汁をふるまう様子をお届けする連載MISO SOUP IN THE WORLDの第10回は、イタリア編です。
こんにちは!味噌を持って世界一周中のmiaです。
今回は食の都、イタリアに来ております。一般的にグルメと賞されるイタリア人に味噌汁はウケるのでしょうか?(写真はウフィッツィ美術館展示品)
ワイナリーの娘さんの羨ましい食生活
今回、味噌汁を振る舞ったエンリカさんです。
100ヘクタールのワイン農園とワイナリーを運営する一家の末娘なんですよ!
エンリカさん一家は、アリアニコやプリミティーヴォと言うぶどうの高品質品種を中心に、多くの地元客から厚く信頼、支持されているワインを製造しています。
2歳になる頃から水にワインを入れて飲んでいたというエンリカさんは、ワインについて熟知しており、目利きに関しては抜群の腕前です。自社で作るワインはもちろん絶品。私も幾度と飲みましたが、飽きることなく、そのおいしさに毎度感動してしまう程でした。
そんなエンリカさんが住むエリアは、カラブリア州と言い、イタリアの国をブーツの形に例えると、ちょうど「かかと」から「土踏まず」の間に位置します。
海に近いことから、魚も好みます。またオリーブオイルやトマトがよく採れることから、その二つの食材を料理に欠かかすことはほぼありません。そしてエンリカさんの場合、グラス一杯のワインは毎食です。地元で採れた新鮮食材に自家製ワインを合わせる……それが毎日の食事。あ〜、そんな贅沢ってありですか?!
イタリアの食事のご紹介
さて、MISO SOUP IN THE WORLDでは、その土地にあった味噌汁を作ろうという心意気から、毎回その土地の料理をご紹介しています。旅人ならではの視点で、自らが体験したものからご紹介いたしましょう!
・どこに行ってもチーズとサラミは定番
日本で例えるなら、漬け物屋にある漬け物の種類くらい、チーズとサラミの種類が豊富です。前菜として食べたり、パニーノ(サンドイッチ)としてパンに挟んで軽食として食べます。地方毎に個性豊かなチーズとサラミが存在します。写真はフィレンツェで食べた盛り合わせ。
・やっぱりパスタが主食
家庭で作って食べるなら、その手軽さからピザよりパスタが定着しています。パスタの種類の多さには度肝を抜かれました。ソースの種類によってパスタの形状を変えるのが一般的。例えば、ジャンキーな肉のソースにはマカロニのような短めのものを、サラリとしたトマトソースには長いスパゲッティを、といった感じです。
・ピザも定番
安くて旨いピザ。家で焼くほかは、店内で食べたり、テイクアウトして家で食べることも多々あるようです。
・フォカッチャがピザと並んで定番
日本人に馴染みの薄いフォカッチャ。大概のカフェに置いてあるくらい定番の軽食です。イーストが入ったパン生地にシンプルな具を並べてオーブンで焼かれたものです。
・お米も食べます
リゾットのような日本で言う雑炊のような食べ方の他に、サラダのようにして食べる方法も。写真は、南に位置するバーリで食べた黒米。玄米のように種皮が残った米ですが、その種皮に色素成分があるためこのような色らしいです。
・シーフードは海沿いで定番
海沿いに行けば行くほどシーフードに出会えます。ちなみに、ヨーロッパでタコを食べるイタリアはめずらしい国なんだとか。
イタリア南部の食の特徴
地域毎に食材や食べ方がちょっとずつ違うらしいというのも、イタリア料理の特徴です。野菜を育てるにも、チーズやサラミを製造するにも、風土に大きく影響を受けるからですね!
オリーブ
北でバターの使用率が高いのに対して、南に行けば行くほどオリーブやオリーブオイルの使用率が高くなるそうです。こちらは南に位置するカラブリア州の家庭で頂いたフレッシュオリーブの塩漬けです。またオリーブオイルは、オイルらしからぬさわやかさがあります。日本人には想像できないほど現地の方々はたっぷりかけますが、そのクオリティーを一度味わってしまえば「これはいける!」と思えるかもしれません。
トマト
灼熱の太陽を浴びて育つトマトをたくさん食べるのも南の料理の特徴。南イタリアにある最大都市、ナポリで食べたアラビアータです。照りつける太陽の下、唐辛子で汗をかく、ん〜やみつきになりますね。
チーズ
南に位置するカラブリア州で食べたモッツァレラチーズがおいしすぎてびっくりしました。これとパンとワインがあればもう十分な贅沢さです。今やモツァレラチーズはイタリア中どこででも手に入るチーズではありますが、南の高温を利用して短期間で作るチーズです。逆に北に行けば行くほど、気温が低くなり長期間熟成するタイプのチーズの種類がグンと増えます。
ワカメ入りの味噌汁を作る
さて、味噌汁の話題に入ります。
エンリカさんは日本食を食べたことがないそうで、初めての日本食に味噌汁を作ってあげることにしました。さらには「海藻も食べたことがないので食べてみたい」とのことなので、ワカメの味噌汁を作ることにしました。海沿いに住み、魚料理はよく食べるそうですが、海藻はイタリア料理には使われることがなく、全く馴染みがないそうなのです。
まず、お湯で戻しておいたワカメを椀に盛ります。味噌汁に乾燥した状態から入れても良いですが、海藻が初めてのエンリカさんを気遣い、海藻臭さをできるだけ抑える方法で。
そして、瓜科の野菜も使います。柔らかくなるまで煮ます。味、食感共に柔らかく、ワカメの味を邪魔しないことを理由にこの野菜を選びました。
最後に味噌を溶き入れます。
世界を連れ回してきているこの味噌も、この通り今回で尽きてしまいました。味噌には、長期間熟成された高品質の製品ほど腐りにくいという特性があります。
エンリカさん、いつも食事にはワインを欠かしませんが、今回は「日本食をしっかり理解したいからワインは要らないわ!」と。かなり期待してくれているみたいです!
そして気になるご感想は?!
「想像したことがない味!」だそうです。目を丸くして驚いていました。食べ進むにつれ「おいしいかもしれない……」と困惑しつつも笑顔で具を完食します。しかし、味噌汁の汁はやっぱり残してしまいました。
今回のように、味噌汁の汁は、しばしば残されることがあります。単純に飲む発想にならないのかもしれません。味が原因というだけではなく、栄養価を理解していないことが理由かもしれません。あるいはテーブルマナー的に汁は残すものなのかもしれません。悲しいですが、理由は不明です。
まとめ
本腰かまえて味噌汁に挑んでくれたエンリカさんですが、反応はイマイチという結果で終わりました。トホホ。
しかし希望はありますよ!シーフードに馴染みがあるイタリア人でも、海藻には馴染みがないという事実が今回わかりました。私の力不足で、なんとなくしっくりこなかった味噌汁でしたが、イタリア人に馴染みの深い食材をうまく合わせればいけるんじゃないか、という可能性はグッと感じました。
文・写真:mia
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