基礎知識

【初心者向け】Wi-FiとLTEの違いまとめ

Wi-Fiといえばインターネットを無線接続するための電波と認識している人は多いと思いますが、同じく主要なデータ通信のための電波に「LTE」があり、LTEでもインターネット接続は可能です。

Wi-FiもLTEもデジタルデータを通信するための電波ですが、通信範囲や通信速度が異なるため、運用方法が異なります。

Wi-FiとLTEの電波としての違いは主に以下のようになります。

Wi-Fi

LTE

範囲

半径十数メートル程度 半径100メートル以上

通信速度

最新規格の11acならば理論値で6.9Gbps

(最も普及している11n規格で600Mbps程度)

下りが最大で150Mbps

個人利用可能か?

ルーター機器を購入すれば可能。

無料で利用可能なフリーWi-Fiも存在。

運用は認可制のため、通信事業者と契約しないと使えない。

Wi-Fiは無線LAN環境を作るための通信電波

Wi-Fiは「Wireless Fidelity」の略であり、主に無線LANを利用するために開発された通信電波です。

無線LANとは数メートルから十数メートル程度の、限られた範囲で無線によるデータ通信をする技術を指します。

自宅でのインターネット有線接続を無線にするために生まれたWi-Fi

一昔前までインターネットを端末(パソコンなど)に接続する場合はLANケーブルによる有線接続が主流でした。

しかし自宅内でもインターネットを無線で接続できれば便利だし、無線ならば複数の端末でも無理なく接続ができます。

このような需要から開発されたのがWi-Fiです。

例えば自宅に光回線を設置し、光回線のモデムに無線LANルーターを接続すれば自宅内に無線LAN環境(Wi-Fiのアクセスポイント)を構築できます。

自宅にWi-Fi電波の無線LAN環境が構築されているため、スマホやPCなどWi-Fi受信できる端末ならば、自宅で無線によるインターネット接続が可能になります。

当初、Wi-Fiは無線LAN環境を作るための通信規格の一つとして開発されましたが、昨今は家庭用に無線LANはほぼ全てにWi-Fiが採用されています。

このため無線LAN=Wi-Fiと認識している人も多いのですが、厳密にはWi-Fiは無線LAN環境を構築するための通信規格の一つ、という定義になります。

お店や公共施設で利用できる公衆無線LANも仕組みは同じです。

モバイル通信もWi-Fiで無線LAN環境を作る

WiMAXやポケットWi-Fi(Y!mobile)を契約して専用のモバイルルーターを使えばモバイルルーターの周囲にWi-Fiによる無線LAN環境が構築され、インターネットの無線接続が可能になります。

WiMAXやLTE回線を用いたMVNOも端末接続にはWi-Fiを用いており、現在、Wi-Fiは事実上、日本の無線LAN通信の標準規格です。

MVNOとは「Mobile Virtual Network Operator」の略で、日本語に訳すと「仮想移動体通信事業者」です。MVNOは光回線のような有線(光ファイバー)による固定回線に対し、無線による回線設備によるインターネット接続サービスの総称です。

LTEは携帯電話の通信規格

LTEは「Long Term Evolution」の略で、主に携帯電話を利用するために開発された電波です。

ちなみにLTEが運用される前の携帯電話の通信電波は「3G」です。このためLTEは3Gの次世代規格として「4G」と呼ばれる場合もあります。

LTEは日本のほぼ全域がエリア圏内

携帯電話は日本国内の各地に基地局が設置されており、範囲内ならば携帯電話の圏内となり、携帯電話で通話やメールの送受信が可能、という仕組みです。

LTEの電波は半径100メートルくらいのため、日本の人口密集地はほぼ100メートルおきに携帯電話の基地局が設置されている計算になります。

LTEは現在、人口密集地を中心に、日本のほぼ全域がエリア圏内となっているため、LTEを受信可能な端末を持っていればどこでもLTEを利用してインターネット接続が可能です。

日本で普及しているスマホはWi-FiにもLTEにも対応しているため、どちらの電波からでもインターネット接続が可能です。

LTEの運用は免許制のため、通信事業者が運用

LTEの電波は免許制で、国から通信事業者に割り当てる形で運用されています。

国からの割り当てでしか使えないということは、Wi-Fiのように運用が無制限ではなく、有限の電波ということです。

個人でWi-Fiルーターを保有して自宅にWi-Fiのアクセスポイント(無線LAN環境)を自由に作れるのもWi-Fiの運用がLTEのように免許制ではないからです。

スマホ契約のデータープランで1ヶ月に使えるデータ容量が決まっているのも、LTEの電波は有限で、Wi-Fiのように無制限に使うことができない仕組みだからです。

家電量販店にWi-Fiルーターは普通に販売されているけど、LTEを発信する通信機器が販売されていないのは、LTEの運用が免許制だからに他なりません。

LTEは国に認可を得た通信事業者(ドコモ、ソフトバンク、au、UQ、ワイモバイル、など)しか運用できません。

例えばドコモ携帯電話を契約すると、契約者にドコモ専用のSIMカードが発行され、そのSIMカードをスマホ端末にセットすることでドコモ契約のスマホとして利用できるようになります。

ドコモとのスマホ契約とはドコモが提供するLTE回線を利用するための契約、と考えることができます。

モバイル通信におけるWi-FiとLTEの運用

ここまでの解説で、Wi-Fiは自宅のインターネットなど、限られたローカルな範囲でのインターネット無線接続のための電波、LTEは携帯電話利用のために、日本全域をカバーする電波であると述べました。

LTEと同様に日本全域をカバーする電波にWiMAXがあります。

WiMAXはUQコミュニケーションズという会社が運用している通信電波で、主にインターネット接続を目的とした電波です。

WiMAXを契約してインターネット利用

WiMAXは光回線と並ぶ主要なインターネット接続サービスであり、WiMAXを契約すればWiMAXの電波を利用して無線でインターネット接続が可能です。

WiMAXもLTEと同様に運用には国の認可が必要です。

以前はUQ以外にもウィルコムという会社がWiMAXを利用したPHSのサービスを提供していました。
現在はウィルコムが無くなったため、WiMAXを運用しているのはUQのみです。

WiMAXの回線を運用しているのはUQですが、プロバイダサービスは多くの企業が参入しているため、WiMAXプロバイダの選択肢は豊富です。

現在、WiMAX回線の最新規格は「WiMAX2+」です。
旧規格のWiMAXも現状で運用はされていますが、すでに新規契約は打ち切っている状態です。このためWiMAX=WiMAX2+と考えてOKです。

WiMAXを契約すると専用のSIMカードが発行されます。
同時にWiMAX電波を受信するためのモバイルルーターが提供されます。
そのモバイルルーターにSIMカードをセットすればモバイルルーターからWi-Fi電波が発信され、モバイルルーターの周辺に無線LAN環境が構築されてインターネット接続が可能になります。

モバイルルーターは文字通りで携帯できるくらいのサイズのため、野外でも利用可能です。WiMAXのエリア範囲はLTEを同程度に、日本全域をカバーしているため、WiMAXはモバイルルーターがあればどこでも気軽にインターネット接続ができる便利な存在です。

ちなみにWiMAX回線を運用するUQコミュニケーションズはauの子会社のためWiMAXを契約していると、オプションプランで一時的にauのLTE回線を利用したインターネット接続も可能になります。

LTEを利用したモバイル通信サービス

上記で紹介したWiMAXと同じ要領で、LTE回線を利用したインターネット接続が可能になるモバイル通信サービスも存在します。

LTEを利用したモバイル通信にはソフトバンクが運営する「Y!mobile(ワイモバイル)」があります。

Y! mobileはLTEを利用したインターネット接続サービスで、Y!mobileの専用ルーターがポケットWi-Fiです。

WiMAXやY! mobileのようなモバイルルーターを用いたインターネット接続サービス事業者をMVNO(仮想移動体通信事業者)と総称します。

まとめ

Wi-Fiはインターネットを無線で使うための無線LANエリアを構築するための通信電波です。

LTEとは携帯電話を利用することを目的として開発された範囲の広い通信電波です。

LTEは日本各地に基地局が設置されているため、日本のほぼ全域が通信圏内となっています。

LTEの運用は免許制のため、通信事業者しか取り扱っていません。
しかしWi-Fiは特に利用制限はないため、家電量販店でWi-Fiを発信するWi-Fiルーターが販売されており、誰でも自由にWi-Fiエリアを構築することができます。

LTEとWiMAXは光回線に並ぶインターネット接続のための主要な無線回線であり、Wi-Fiは光回線やLTE回線を通信端末(PCやスマホ)に無線接続するための通信電波です。

Wi-FiとLTEは通信範囲や通信速度の違いがあるだけで、どちらも無線によるインターネット接続を目的とした電波です。