世界最南端の街でたった1枚しかないクレジットカードの残高が4万円になったデスクは、ある可能性にかけてブエノスアイレスに降り立ちました。
全4回でデスクの世界一周での「最悪のエピソード」を綴るシリーズ。金欠からはじまったこの旅一番のピンチは、国際問題にまで発展することになります。
第一回 世界最南端の街でそれどころじゃなかった話
第ニ回 「エマージェンシーキャッシュ」を発動した話（今ココ）
第三回 札束を抱えてブエノスアイレスを奔走した話
第四回 強制送還された話
エマージェンシーキャッシュという裏技
南米のパリと謳われる瀟洒（しょうしゃ）なブエノスアイレスの街
まず、状況を整理しておきます。
・1枚しかないカードのキャッシング利用額の残高が4万円
・口座にお金はあるが上記のカードしか引き出す手段がない
・翌日にはヨーロッパへのフライトを控えていた
という訳で、このまま口座からお金を引き出せないと、ヨーロッパを1か月4万円で旅することになります。その物価の高さで全ての旅人を震え上がらせるヨーロッパを……。
何か策はないかと死に物狂いでGoogle先生と向き合いました。すると、ひとつの可能性が…。
それは……「エマージェンシ―キャッシュ」（以下Eキャッシュ）です。
エマージェンシー・キャッシュ（緊急事態の現金のお引き出し）
緊急事態の際、海外550ヶ所のシティゴールド・センターにて最高10,000米ドルまでお引き出しが可能です。
シティバンクより引用
緊急事態というのは例えばキャッシュカードを無くした場合。パスポートさえあれば預金を現地窓口で下ろすことができるというのです！
何を隠そう…僕がこの旅で無くした2枚のカードのうち1枚はシティバンクでした。
しかし…日本のシティバンクのお姉さんいわく、Eキャッシュは次の訪問国ドイツでは対応していない（2012年4月時点）というのです。なので対応しているというここアルゼンチンにいるうちに、まさに今日ゲットしないといけないのです。
3軒をたらい回しに…
決意を胸にブエノスアイレスの街に出ましたが、困ったことが起きました。このEキャッシュという制度はあまり使う人がいないのか、シティバンクのスタッフに認知されていなく、みんな「何それ？美味いの？」という反応なのです。
結果、ブエノスアイレスの3つの支店をたらい回しにされました。
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まず飛び込んだのが宿の近くにあったこちらの小さな支店。
1軒目に「もっと大きな支店に行け」とバスで向かったのがこちら（右の白い建物に「citi」のロゴ）。かなり大きな支店だったのですが「Eキャッシュはやっていない」とのことで、紹介されたのが…
こちら、繁華街フロリダ通り沿いにある店舗。今度こそ…！
シティバンクのオフィスへ
しかし、受付のお姉さんは「NO」を繰り返すばかり…。話にならんと、ガードマンに「俺は今まさにエマージェンシ―なんだ！」と訴えました。すると…
あっけなくオフィス階へ通じるであろうエレベーターに乗せてくれました。
オフィスではスーツをバッチリ着こなしたいかにもデキる男達がたくさん働いていました。気後れしながらもその中の一人に話をすると「分かった。ちょっと待ってくれ」。
書類書いて、日本のシティバンクのお姉さんとお話したりなんやかんやあって、ようやく書類が完成。書類に「わたしは全てを失いました。なので、Eキャッシュを発動します」と書かされます。「俺は心は失っていない」と伝えると、お兄さん「それは知っている」とウィンクで返してくれました。
お兄さん…スキ……。
10万円分のペソをゲットしたものの…
その書類を持って、窓口へ。この窓口がまた長蛇の列で2時間待たされたものの無事、一回の限度額10万円分のペソ（Eキャッシュは現地通貨のみ）をゲット。
これをユーロに両替すれば（明日ドイツに行くので）、任務完了だったのですが…。
この後、ペソの札束を持って、ブエノスアイレスの街を彷徨うことになるのでした。
次回へ続く
このエピソードも載っているデスクの著書もどうぞ
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