国際的に国としては認められていない国・未承認国家。一体どのようにして成り立っているのか?数ある未承認国家のうちの一つヨーロッパにある「沿ドニエストル共和国」をご紹介します。
未承認国家・沿ドニエストル共和国とは
こんにちは!自称マジシャンせがわーるどです。ただいま大学で勉強しているロシア語を使い旧ソ連諸国を周っています。
モルドバとウクライナの国境沿いにある小さな国、沿ドニエストル共和国(ルーマニア語をもとにトランスニストリアとも呼ばれる事も)に行ってきました。
この国を知っている方は恐らく少ないと思います。何故なら未承認国家(一覧はこちら)だからです。未承認国家といえど自国の政府や通貨まで持っています。
沿ドニエストルは、東ヨーロッパ、モルドバの東部ドニエストル川東岸のウクライナ国境に接する地域。国際的にはモルドバ共和国の一部とみなされており、主権国家として承認されていないが、現在、モルドバ共和国政府の実効統治は及んでおらず、事実上の独立状態にある。ソビエト連邦末期にモルドバ民族主義の昂揚により、1990年にドニエストル川東岸のロシア系住民が「沿ドニエストル・ソビエト社会主義共和国」を宣言、さらに1990年9月2日には、「沿ドニエストル共和国」として独立を宣言(Wikipediaより引用)。
場所はこの辺りです。
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モルドバのキシナウからの行き方
鉄道は1日朝と夜の2本と本数が少ないため、多くの方が本数の多いミニバスで行くそうです。
未承認国家に1人で行くのは少し怖かったので、モルドバで出会った日本人の方と行く事になりました。車内は一人ずつスペースがあるため快適でした。
お値段はなんと21レイ(約110円)です!安すぎる。こんな簡単に国境越えができていいのでしょうか?
車窓からの景色も素晴らしく奇麗です。
沿ドニエストル共和国の首都ティラスポリ
電車に揺られること2時間で沿ドニエストルの首都ティラスポリに着きました!モルドバではラテン式アルファベットが使われているのに対して、歴史的な背景からロシア系の多い沿ドニエストルでは今でもキリル文字が使われています。
しかし、肝心の国境審査がありませんでした。未承認国家と言えど、国境審査があると聞いていたのですが……。この時は、深く考えずに観光に専念しました。この後、問題になるとも知らずに。
独自の通貨「沿ドニエストルルーブル」
近くの両替所で沿ドニエストルルーブルに両替しました。コインがプラスチックでできています。1ルーブル10円です(2016年4月現在)。ロシアと同じ「ルーブル」ですが、デザインも全く異なり、沿ドニエストルだけで流通しています。
未承認国家の治安は…
本当に静かな国で、鳥のさえずりがこんなにも聞こえるのか!というほど静かで穏やかな空気でした。
僕たちは宇宙人
アジア人がほとんど居ないのか、現地人が僕らを見て驚いています。そして話しかけてきます。子どもなんて、口を開けて固まって「ママ、あれ見て!」と言わんばかりに驚いています。僕たちはまるで宇宙人のようです(笑)
沿ドニエストル共和国ではビザ(滞在証明)が必要だった…!
沿ドニエストルには日本人は1日以上滞在できないため日帰りです。帰りの鉄道の切符(16トランスニストリアルーブル/160円)を買い、駅で待っていたところ……いきなり警察が来て、滞在証明書の提示を求められました。検問を通っていない僕たちは持っておらず、困惑してしまいました。
パスポートを取り上げて、神妙な顔をする警官。僕は、必死に言い訳を考えつつ、賄賂の準備をしていると……警官が言いました。
「君たち、これは不法入国だからね?わかってる?」
電車で入国審査が行われなかったと必死に弁解しました。次に警官が放った言葉は…
「しょうがない、次から気をつけてね」
と言って去って行きました。え?終わり?
何故入国審査がなかったのかは分かりませんが、もし行かれるならミニバスで行く事をお勧めします(ミニバスでは必ず国境審査を受けます)。
未承認国家も人々が暮らしている
何はともあれ、実際に未承認国家というものに足を運んで分かったのは、未承認国家であっても人々は商売をし、散歩をし、時に笑い、至って平和に暮らしているという事でした。周りから認められていないだけで、なんら「一つの国」として変わりなかったのです。
ぜひ皆さんも自分の目で未承認国家を覗いてみてはいかがでしょうか?
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