中国の山中にあるという「小人の王国」……果たしておとぎ話に出て来るような小人達の楽園なのでしょうか?気になり過ぎたので調査してきました。
小人の国へ行ってきました
こんにちは!しゃんいえーです。現在、中国の江蘇省にある蘇州(そしゅう)(上海から西へ2時間くらい)に留学中の大学生です♪
今回は、雲南省の省都・昆明市の郊外にあるテーマパーク「世界蝶々生態園」の三大コーナーのうちの一つ・「小人国」をリポートします……!
「小人国」。名前だけ聞くとおとぎ話に出てくるようなファンタジーの世界のように思えますが、ここにいる「小人」とは、「小人症」という疾患を抱えた人々のことです。
きっかけは日本の「見世物小屋」
小人国を知ったのは、日本で以前、縁日の時などにあったという「見世物小屋」について調べていたことがきっかけでした。
見世物小屋(みせものごや)は、珍奇さや禍々しさ、猥雑さを売りにして、日常では見られない品や芸、獣や人間を見せる小屋掛けの興行である。奇形の子供や性行為を覗き穴で見せるなど、文字通り何でも見世物にした。(Wikipediaより引用)
好奇心をくすぐるようなものであれば何でもパフォーマンスとして取り入れたという見世物小屋。その中には、恐らく小人症の方もいらっしゃったことでしょう。人権的観点から、近年日本ではほぼ見ることができなくなってしまいました。
しかし、中国には「小人達による王国」という形で、その姿が残されているというではありませんか!絶対ここに立ち寄ろう!……ということで、小人国行きを決意したのでした。
世界蝶々生態園「小人国」・昆明市
住所:云南省昆明市西山区碧鸡镇黑荞母村世界蝴蝶生态园
交通アクセス:昆明市内の梁家河车场(春晖路)からc26路のバスに乗り、世界蝴蝶生态园へ。(8:30、11:30、14:30の1日3回発車) バス代は10元(約180円)。
120元(約2130円)でチケットを購入し、いざ・・・出陣!
ここは本当に中国なのか?
中国といえば、どこに行っても人、人、人!景色を見に来たはずなのに人しか見えねーぞ!!ということが頻繁に起こりますが、ここは人がほとんどいません。営業しているかも分からないようなひっそりとした雰囲気。しかし、そのムードが、「小人」という特別な存在の神秘さを高めているようにも感じられます。
小人国まで続く坂の上にある、あのお城で小人達が待っているのでしょうか……?
「小人国スーパー」を発見!
小人国に到着すると「小人国スーパー」という名の売店がありました。一体何が、誰が待ち受けているのか。中に入ってみましょう……。
売ってあるのは普通のお菓子・おもちゃ・装飾品、テーマパークのDVDなど……と、ここで怪しいものを発見!
「小人国」という、ファンタジーさにそぐわない気がしますが、商品の手前の「あなたのお買い上げは全て、小人達への思いやりになります」という中国語の文が、いかがわしさを消し去ろうとしているようにも感じられます。
そして、店内に小人達が…!少女のように見えました。ここで販売する工芸品を縫っている様子でした。店内は照明はついておらず、外の光が頼りです。店内BGMなんかもありません。お店もあまり頑丈ではなく、風でガラスがガタガタと凄い音を立てています。床ではなく、土でした。
お菓子を買おうとレジに行くと・・・レジを担当していたのも小人の男性!見た目だけでは歳を判別できませんでしたが、30歳以上くらいでしょうか。レジの内側には足元に台が置いてあり、彼はそこに立ってレジを打っていました。
小人国の人達の生活
私が見た小人国での小人達の過ごし方は、以下の4パターンでした。のんびり生活しているようです。
●編み物をしている
●店番をしている
●外で焚き火に当たっている(仕事していない)
●小屋に引きこもっているため、確認できない
14時半頃になると、小人達がぞろぞろと集まり、なにやら掛け声が聞こえてきました。小人国では毎日10時50分と15時半に、小人達によるショーを行っています。そろそろショーが始まるようです。
小人達のショーが始まった!
さあ、いよいよ待ちに待ったショーのスタート!小人男女のMC(写真右下)の後ろで、兵士や小人国の国民に扮した衣装をまとって勢揃いする小人達。10代から50代まで、幅広い年齢層で構成されているにも関わらず、男女問わずとても小さな体。これが、小人国……。
まずは、年配男性による歌の披露。白いスーツ、手には花、まるでアイドルのように仕立て上げられているのにそれほど伴ってはいない歌唱力から、彼がただ「小人」ということをウリにして舞台に立っているということが伝わりました。
そして8歳の時に小人であるがゆえに蔑まれて、家族や故郷から離れ、家なき子として育った、ある一人の小人の身の上話が語られます……。観客の同情を買うことによって出演者と観客の精神的距離を縮めようとする演出上の目的があるのでしょう。
男女混合で、江南スタイルのダンスを披露!
そんな感じであっという間に30分程のショーが終了。最初のように全員が揃って踊りを披露し、幕を閉じます……。
「小人国」と「社会」の関係
彼らの特徴は何といってもその「小さな体」。表現者としての能力は高かれ低かれ、その特異な体をさらすことで観衆の目を惹いていましたが、彼らが演じる姿は、「滑稽さ」と「哀れみ」を兼ね備えていました。
中にはダンスや歌に秀でた人もいて、得意げに披露している人もいました。しかし、このような特殊な場所でなければ彼らは自身の特技を披露することができないのかもしれません。公演中に「彼ら」と「社会」の関係が何度も頭をかすめました。
さまざまな思いを持った小人症の人達が集まり、ひとつの国が作られている。とても人間くさい、だけど不思議、そんな空間でした。
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