エチオピア北東部・ダナキル砂漠内にある世界一低い活火山(613m)、エルタ・アレのねっとり動く溶岩はまるで生きているかのようでした。
こんにちは!旅する理科教師ぞーしきです。
さて、今回はエチオピアのダナキル砂漠のツアー連載の第三回(最終回)をお届けします。
第一回 「アフリカのウユニ」ことアサレ塩湖に行ってきた
第二回 「ナメック星」と呼ばれるダロ-ル火山をまじめに観察してみた
ツアー3日目は、デコボコの火山岩の悪路を4WDで走り抜け、地上で一番低い場所にある、エルタ・アレ火山に向かいます。
エルタ・アレ火山とは?
標高613m。エルタ・アレとは現地に住む遊牧民族・アファール族の言葉で「煙の山」を意味する。山頂に2つの火口があり、そのうちの1つの火口内には世界的にも数少ない恒常的な溶岩湖がある。活動中の溶岩湖としては最も古く、地表にある火山の中では最も低いとされている。エチオピア国内で最も活発な火山で、現在も活発である。2005年からは火山活動が継続状態となっている。2005年に噴火したときは、エルタ・アレ山の周辺住民数千人が避難。避難したため人的被害はなかったが、家畜250頭が死んだ。(wikipediaより引用)
8時間かけて悪路を駆け抜ける
この日はエルタ・アレ火山のふもとまで約8時間の移動があります。宿泊していた村の子供たちが笑顔で見送ってくれました。幸せとは子どもの笑顔ですね。
三時間程で、目の前に、真っ黒な火山が固まってできた石が見えてきました。
手に取って見てみると、穴がいくつも開いていました。これは、溶岩が固まる時に溶岩から抜き出たガスによって作られたものです。
車はこのがたがたな火山岩の上を走りぬけ、さらに粉じんを巻き起こしながら悪路を進みます。
道の状態は最悪で、車が上下に揺れ、天井に頭をぶつけて以来、身を守るの為に必死に手すりを掴んでいました。この状態が1時間程続き、おしりが痛くなりました。
4WD、砂に埋まる
その後、遊牧民の村で昼食を食べ、再出発です。いつの間にやら地面が砂漠になっております。
すると、前を走っていた4WDが、地面のぬかるみにはまってしまいました。他の車がロープで引っ張り、30分程で何とか抜け出し、ツアーの続行です。
この砂漠走行で驚いたことが2つあります。まず、拳大の実がついた植物が見渡す限り繁茂していたことです。遊牧民が栽培しているのでしょうか。
もう一つは、写真では確認できませんが、数千匹程の紋白蝶が砂漠を優雅に舞っていたことです。砂漠と紋白蝶のギャップが新鮮でした。
そんな、道のりを8時間経て、ようやくふもとの村に到着です。うっすら煙が見えるのがエルタ・アレの火口になります。エルタ・アレの溶岩は粘性が低いので、なめらかな傾斜の火山になっています。トレッキングがしやすそうです。
水が足りない……3時間のトレッキング開始
火口までの3時間トレッキング開始です。火口近くの村で野宿するため、寝袋を担いでいます。
3度の休憩を経て、何とか参加者全員が火口近くの村まで辿りつきました。今日はここで野宿です。僕は、持参する水が少なく、水分不足を恐れながら登っていたので疲労感が予想以上でした。しかし……
その場所から見える火口の光と星々が、その疲労感を根こそぎ奪い取ってくれました。その火口の明るさにより、全天で一番明るい星、シリウスがかすんで見えました。
まるで生き物のような溶岩を観賞
その村から、歩いて5分ほどで……お待ちかねの溶岩、登場です。50m程の円(火口)の中にドロドロの溶岩がゆーっくりと動いていました。
火口の高さが20m程あり、円の淵から1m離れてみても顔が熱かったです。僕は、その粘性のものが持つ独特の光に惑わされました。ねっとり動く溶岩を見ていたら、ウォーターベッドのような心地よさを感じ、火口へダイブしたい衝動に駆られました。
マグマが爆発しているところが、火口の中でも一際目を引きます。ここが原因なのか、ゴーゴーと台風の風音のような轟音が耳に響いていました。
30分に1回程、不特定な場所で大規模な爆発が起こります。爆発の時は顔に感じる温度が上がりました。
その爆発は凄まじく、溶岩のしぶきは高さ20mを超え、対となる火口の淵には届いているように感じました。
噴火後は、その溶岩が冷え固まり黒くなった後、噴火している所より外側へゆーっくりと押し出されていきます。そして、また不特定な場所でマグマの中へ、滝のように下降して行きます。その果てしなく続く循環の様子は、まるで地球が生きている事を主張しているかのようでした。
出血の原因は火山がつくるペレーの毛だった
そんな、地球の神秘を感じながら地べたに座っていると、地面に着いた手のひらから血が出ていました。何やら針のようなものが刺さったようです。翌日その原因を調べてみると、そこらじゅうに繊維のようなものが地面を覆っていました。
その先端は針のように尖っていました。これは溶岩毛またの名をペレーの毛と言って、噴火した溶岩が空中で引き伸ばされたものです。
朝日を歪ませる程の火口の熱気
仮眠を取って、朝日を拝みます。火口はそんな太陽の動きに関係なく、絶えず定期的に爆発を繰り返していました。
ツアーを終えて
今回、このツアーを終えて感じた印象は「地球の神秘のいいとこ取り」だったという事です。アサレ塩湖の鏡張り、ダロール火山の不思議な彩り、エルタアレ火山の鼓動が3泊4日という短期間で体験できるのは、このアファール低地という地球が生み出した特別な場所だからこそです。
あとは…約500ドル(約6万円)という高額な値段をもう少し抑えてもらって、アフリカに来るすべての旅人がもっと身近に地球を感じられる場所になれば嬉しいなと、ツアー代金支払いの時の厚い札束を見て感じました 笑。
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