仕事は好き? ポトシ鉱山の坑夫に「バカな質問した」と後悔した話

2015.10.13 12:42 
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今は荒廃してしまったボリビアのポトシ鉱山。粉塵が舞い、気温40度近いトンネルの中で70歳のお爺さんが、雄叫びを上げて働いていました。

 

仕事とは本来こういうものでは?

デスクです。

いきなり直球ですが、皆さんにとって仕事とはどういうものでしょうか?日本では近年、仕事にやりがいや自己実現を求める人が増えているような気がします。

しかし、仕事とは本来こういうものだったのではないかと思うシーンに立ち会うことがあったのでご紹介します。

 

最も印象深いツアー

今回の舞台、ボリビアのポトシはこの辺りにあります。街は世界遺産に登録されていて、ウユニ塩湖の前後に立ち寄る旅行者も多い街です。

 

標高約4,000 mに位置し、歩いているだけでも息が切れます。坂なんか登ろうものならゼエゼエ言っちゃいます。
この街はその昔、銀山で栄えました。

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その昔、ポトシは中南米三大銀山に数えられるまでになりました。しかし19世紀には銀が枯渇し、街は荒廃。現在ではセロ・リコ鉱山でスズをはじめ数種類の鉱物が採掘されていて、手掘りで作業を続けている坑夫がいるとのことです。
Wikipedia参照

 

鉱山で働く坑夫に会いに行くというツアーがあると聞いて行ってきました。世界一周中、各地でたくさんのツアーに参加してきましたが最も印象深いツアーとなりました。

 

坑夫に差し入れをしよう

まず、このツアーのコンセプトが面白いんです。
我々を乗せたバンが向かったのは…雑貨店…?

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鉱山のふもとにあるこのお店は坑夫御用達のお店なんだそうな。

ガイド:ここで坑夫に差し入れを買います!コカの葉、アルコール、タバコ、炭酸飲料などが喜ばれますよ〜!

正直、ツアーにはそれほど乗り気じゃなかったのですが、こういうアトラクション(目的)を作ってくれると俄然テンションが上がります。

 

坑夫が噛みながら仕事をするというコカの葉(疲れや空腹を忘れるために噛む)と、

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たばこ、

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アルコールを買います。このボトル…薬品か何かかと思いました。坑夫達がどんな環境で働くのかほんのちょっと想像できた気がします。

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坑夫との遭遇

差し入れゲットして、いよいよ鉱山へ!(彼は同行した旅人)

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市内から30分ほどで鉱山の入り口に到着。

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車を降りて歩くこと数十分、バラック小屋が並んだ一角に差し掛かります。ここで坑夫達が休憩を取るんだそうです。皆さんゴハンを食べたり、コカを噛んだり…。

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「また観光客が来たよ」って感じでしょうか。あまり歓迎されてない…ってそりゃそうですよね。

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坑夫の働きぶりに圧倒される

我々も、先に見える穴から鉱山の中へ。

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入った瞬間、少しひんやりします。照明はなく、頭のライトだけが頼り。かなりの粉塵が舞っていて、硫黄のような臭いも。黒いパイプは中に空気を送るためのものだそうです。

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早くも息が切れてきます。ほんとに、こんなところで仕事してるの?

 

頭上からいきなり、坑夫が現れてギョッとしました。

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服が汗と粉塵でコーティングされていて、一瞬、人間とは思えませんでした。自分とは決定的に何かが違うという違和感。分かりますかね?

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こちらの坑夫はもう8時間以上も中にいるとのことで、息も荒く、足元がフラフラしていました。膨らんだほっぺにはコカの葉が詰まっています。

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差し入れを渡すと「Muchas gracias!(ほんとにありがとう!)」

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トロッコを引っ張る坑夫にも出くわしました。このパワフルさ…。

 

彼らは基本的に3交代で8時間づつ働いているそうです。今でも、坑夫達は平均13歳くらいから働き始めるため、粉塵で胸を悪くし、早めに亡くなる人が多いのだとか。

 

スペイン統治下では、強制的に集められたインディへナの奴隷により採掘が行われていたそうで、一説には800万人が犠牲になったと言われています(生き残った場合は高額の賃金が支払われた)Wikipedia参照。

 

史上最高にスパルタなツアー

ツアーはサバイバルな感じで進んで行きます。

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坑夫の人には申し訳ないんですけど、めちゃくちゃしんどいです。粉塵を吸い続けてきたからか、呼吸をするたびに喉に鈍痛が走ります。鉱物の臭いも鼻にまとわりついてかなり不快です。「どんだけスパルタなツアーやねん!」

 

あるポイントに差し掛かった時、異常な蒸し暑さが襲ってきました…。

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70歳のおじさんの顔

その現場では皆さん半裸で作業していました。めちゃくちゃ暑い…。40度近かったと思います。

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このおじさんがリーダーのようで、声を張り上げて陣頭指揮をとっていました。

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おじさん、なんと…70歳だそうです。
エネルギーに圧倒されて「Como estas?(お元気ですか?)」と話しかけると勢いよく、「bien!bien!bien~!(いいよ!)」と応えてくれました。

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すごく狭い現場。この写真を見ると我ながら「邪魔っ!どけっ!」って思ってしまいます。この頃になると「俺ら何やってんだろ」って感じでした。
でも、皆さん、全く嫌な素振りを見せないというか、眼中にないのか…ほんとに黙々と仕事をしている。

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おじさんのこの顔…。

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好きとか嫌いのレベルではない

僕はおじさんに「仕事は好き?」と、今思うとほんとに馬鹿げた質問をしました。

するとおじさんはきょとんと「昔からやってきたからな」と。

ですよね。好きとか嫌いのレベルで仕事してないですよね…。

 

日本とここの労働環境を比較するのは野暮だと思います。

ただ、彼らの働きぶりは「プライド」がほとばしっていました。

 

 


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デスク
世界新聞の通称「デスク」。株式会社世界新聞代表取締役。これまでに35カ国以上を訪れる。 2011年〜1年間の世界一周旅行へ。ブログ村世界一周ランキング1位。2013年、世界新聞を立ち上げる。 著書に「世界一周できませんと思っていたらできちゃった」(幻冬舎) 海外旅行に関する講演もちらほら。

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