こんにちは!旅する理科教師ぞーしきです。
突然ですが、面白い植物と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?毎朝花を咲かせる朝顔?風船のような果実をつけるフウセンカズラ(下写真)?
"Cardiospermum halicacabum1" by KENPEI – KENPEI's photo. Licensed under CC 表示-継承 3.0 via ウィキメディア・コモンズ.
いえいえ、そんなものは甘い甘い!ここ、中南米には「娼婦の唇」の異名を持つ植物があります。今回、僕は中米のコスタリカでその魅力に誘われて、妖艶な唇を奪ってきました。その状況をレポートします。
その花の名前はサイコトリア・ペッピギアーナと言います。こちらのサイトによると、「中南米原産のアカネ科ボチョウジ属の木本植物です。全草を煎じて痛み止めとして、頭痛や捻挫、筋肉痛、それからリウマチなどに効果がある。主に熱帯アメリカに見られる大きめな低木で、白色の小さな花を咲かせ、青色の果実をつけます。」と記載されています。
僕はネットでこの植物を知り、中南米に行く際には絶対見たいと兼ねてから思っていました。
僕が訪れたコスタリカと言う国は、国土は日本の約7分の1です。しかし、そこに全動植物種の5%、鳥類・蝶類・ランにいたっては10%が生息しているという、まさに世界屈指の動植物の宝庫です(こちらを参照)。
まず、初めにここで出会った動物たちをご紹介します。
はちどりに蜜を与えている場所があり、10羽程が一定の場所に集まってきます。紫やオレンジなど色とりどりで楽しませてくれました。
その蜜のおこぼれを狙って、ハナグマもひょっこり顔を出します。簡単に目の前で観察できるなんて思っていませんでした。とてもかわいいですね。
また、ツアーに参加すると、運しだいですが、夜行性の生物も観察できます。これはタランチュラです。転がっていた丸太の隙間に潜んでいました。
こちらはナマケモノ。幸運にも、週に1度しかしないというトイレも観察することが出来ました。
どうでしょう。こんなにも珍しい動植物に出会えるならば、サイコトリア・ペッピギアーナにも簡単にキスできそうな気がしませんか?でも、実際はそんな簡単ではありませんでした……
では、本題に移りましょう。僕は、モンテベルデという自然保護区に向かいました。場所はここです。
ここは、以前ケツァール記事でも紹介した熱帯雲霧林になります。受付で入場料を払い、
あたりの様子は、熱帯雲霧林と言えど、僕らのイメージで言うジャングルです。
中に進んでいくと、吊り橋もあり、探検好きにはたまらないものとなっています。
木々もよく見ると、一本の木の周りに他の植物の弦がぐるぐると巻いたりと、まさにジャングルに来たという感じがしました。
そんなジャングルに入りものの5分でなんと唇花サイコトリア・ペッピギアーナを発見しちゃいました。しかし…何かが違います。喉の奥から何かが出てきてしまっています。唇に到底見えません。
実は、この唇のような赤い部分は花ではないのです。苞(ほう)という部位に当たり、花の基部にある、花を包む葉っぱのことになります。写真では中心にある小さいものが本物の花になります。つまり、花が咲く前の苞が広がり始めた絶妙な時期にだけ、「娼婦の唇」とも言われる妖艶な形になるのです。サイコトリア・ペッピギアーナ自体はそこらじゅうに咲いていたのですが、このちょうどいい「娼婦の唇形」を探すのが大変でした。
例えばこのサイコトリア・ペッピギアーナはまだ若く、形はちょうどいいのですが赤色が足りません。体調の悪い唇と言ったところでしょうか?
そして、ジャングルの中を歩くこと1時間程でしょうか。ついに、なんとか唇に見えるものを発見しました!それが、こちらになります。
どうでしょうか?ふわっふわの下唇に、新緑の中にひときわ目立つ真っ赤な色が、僕を魅了して止みません。まるでジャングルの奥で僕の唇を長年待ち続けたようにさえ錯覚してしまいます。
では、早速、その妖艶な唇を奪っていきましょう。大きさもちょうど僕の唇と同じくらいです。
しかし、その顔から、嬉しさが漏れ出しているのもお分かりになることでしょう。唇を合わせた感想は「ペラペラで弾力がなく、冷たかったので、厚みと血が通ってほしい」でした。
さて、今回のサイコトリア・ペッピギアーナはいかがでした?まるで、本物の唇の様でしたよね。動物多様性とは耳にする言葉ですが、やっぱり世界は神秘で溢れてます!それを実際に確かめられるなんて、旅はなんという贅沢を与えてくれるのでしょう。自分史上最高に愚かなキス…そして、あの類まれなる感触は決して忘れることはないでしょう。
「ぞーしき」「おもしろ」の関連記事もどうぞ
・「世界一臭い食べ物」を本場スウェーデン(-30℃)で食べてみた
・【シャネルの5番のもと】ジャコウネコの肛門の分泌物はいい匂いなのか?
・【検証】本当にケンタッキーからスフィンクスと目が合うのか?
世界新聞の最新情報をゲット
RANKING