宝石・オパールを求めて、山を越え、崖を越え……エチオピアの秘境に行ってきました。
こんにちは!旅する理科教師ぞーしきです。
エチオピア滞在中、街をふらふらしていると至る所でオパールを掲げた看板が見られました。
調べてみると、エチオピアはオパールで有名な国の一つだとか。
エチオピアからは1990年代よりオパールの産出が知られていました。2006年にはwollo地区で豊饒なオパールの鉱床が発見され大量のオパールが市場で流通するようになりました。2013年初めには原石のままでの輸出が禁止されました。現在、様々な処理を施されたエチオピア産オパールが流通しています。ジェムリサーチジャパン株式会社HPより引用
これは宝石好きとしては見逃せません!情報も少ない中、暗中模索し、オパールの採掘場に行ってきました。
バスは劣悪な山道をひた走る
色々な人に聞き、目星をつけたオパールの採掘場がある村は、首都アディスアベバからバスを3本乗り継ぎ2日かかります。wegel tena村です。
エチオピアのバスは写真のようなもの。十数時間乗る場合でも、市バスのような大きさに横5列人が座るので、おしりが猛烈に痛いです。
中の様子です。エチオピアでは治安の問題から夜行バスが禁止なので早朝発です。日の出前から席を確保します。
バスは高原の国であるエチオピアの道なき道を走ります。舗装されていない上、ひたすら蛇行する山道は地元の人でも酔います。
バスは「RoadClosed」という看板にも目もくれず、また、地元の人の生活を支えている川でさえ、我が物顔で横断していきました。
カバンから取り出したものは…
外国人は珍しいので、色々と声を掛けられました。こちらは隣に座っていたお兄さん。「オパールを採りに来たんだ」と話すと、カバンから何やらごそごそ…
なんと、オパールでした!終着の村で採ったと言います。オパールが採れると聞いていたものの実物を見るまでは半信半疑だったので、これには、ただただ興奮しました。
そして、村到着です。向こうに見えるテーブルマウンテンが無名なことが、この村が秘境だと物語っているように感じます。
村中の人がオパール所持者
この村を歩いていると、至る所で「オパールを買わないか?」と声を掛けられます。
せっかくなので、見せてもらいました。ブルーベースのオパールです。自分でこんなに採れるなんて、羨ましい…
この人はネックレスを自慢してきました。虹色がかっていて、高そうでした。
許可をもらいに警察へ
ここで大事なことをお伝えしなければなりません。調べたところ、エチオピア産オパールの原石は輸出禁止だそうです……。僕ら旅人は、採掘および購入すら許されないとのこと。
採掘場に行くにも政府の許可が必要だとか。とりあえず、村にある警察署に向かいました。
敷地内に入り驚いたのは留置所が簡素すぎることです。写真の奥にあるのがそうですが、木の枝数本で囲ってあるだけで、一部は開いています。右の方で固まっているのが収容者ですが、すでに牢屋の外にいます(笑)。
許可は、バスで知り合った人が助けてくれたのもあり、すんなり取れました。
断崖絶壁を渡り、採掘場へ
彼は今回ガイドをしてくれたマッスルです。村で床屋を営んでいます。カット料金を聞いた所50円という衝撃の価格でした。
道脇には、小麦や、「見た目は雑巾、味はゲロ」と謳われる、エチオピアの国民食インジェラの原料となる「テフ」のフィールドが広がります。参照:【検証・エチオピア最大の試練】インジェラを中目黒で食べてきた。
しかし、そんな牧歌的な雰囲気もつかの間、10分もすると息が上がるトレッキング道に差し掛かります。
その崖を下り始めました。こんな道を労働者が通っているんですね…。
僕も必死に食らいつきますが、こんな道を通ると思っていなかった為、盗難対策に持ってきたPCの重さが僕に牙を向けてきました。
そして、村を出発してから1時間程で採掘場に到着です。この村の近くにはいくつも採掘場があり、ここは「ココハァ」と呼ばれていました。ここには労働者が420人もいるそうで、週3~4日ここに通うそうです。
危険な採掘穴
これが、採掘の為に掘られた穴です。縦1m、横2m程の大きさで1~2m感覚で27つの穴があるようです。奥行きは50m~100mだと言っていました。
穴によっては崩落防止の為にサイドに石を積み上げているものもありました。2年前には崩落によって60人死亡したそうです。
しかし、なんとこの穴で常に10人~13人は生活していると言います。ここで生活するのも、あの道を通うのも危険極まりないです。
いざ、採掘へ
この穴は100m程だそう。中から懐中電灯で行先を照らしてくれています。勢いよく入ってみましたが、100mをしゃがみながら進むのはすごく辛い… 太ももがパンパンでした。5分程でしょうか。やっとの思いで奥までたどり着きました。
この日は休日にも関わらず、労働者の方が僕の為に演示してくれました。
この指先にあるのがオパールだそうです。つるはしを10回程振っただけで見えてきました。
採れたものはこのようなビニールに入れて保管します。1日に1穴で約500gのオパールが採掘できると言っていました。
その後、崩落もせず、穴から無事に帰還です。この表情から低姿勢での移動がいかに大変かを察していただければと 笑。
洞窟の天井に何度も背中があたり、リュックはこんなにも真っ白に。
復路はリュックを預けたにもかかわらず、Tシャツもこんなに汚れました。
一攫千金を夢見るドリーマー達
こんなクオリティのものがまとまって産出するととんでもない金額で取引されます。実際、成功した鉱山所有者はトヨタのランドクルーザーを3、4台所有していると言います。月収3万円(エチオピアの平均年収は約15000円)の大学の教員の職を捨てて、宝石のバイヤーになっている人もいました。そんな現実があるから、過酷な労働条件でも働いていけるのでしょうか。
今回、情報不足の中、また一つ地球の魅力を直接学ぶことが出来たのは、現地の人の助けがあったからです。その優しさが、僕の旅欲を満たしてくれる一つの大きな要因だと気づき、その優しさを還元しようと決意できたことは、どんな綺麗なオパールよりも貴重な発掘だったのかも知れません。
文・写真:ぞーしき
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