「ヒスイ」とは日本古来から勾玉(まがたま)などの装飾品として縁のある宝石ですが、ここミャンマーには、世界一多くのヒスイが取引されるヒスイ市場なるものがあります。今回、この市場に侵入したところ、知られざる実態に巡り合ったので紹介いたします。
どーも、旅する理科教師ぞーしきです。今、僕はミャンマー第2の都市マンダレーにいます。
マンダレーはネットが遅いし、外国人が泊まれるゲストハウスは限られるし、バックパッカーには居心地の悪いところですが、ヒスイの魅力には勝てず滞在しました。宝石好きの僕は過去にこんな記事も書いていますのでよろしければ。
カンボジアの秘境で50人の坑夫に混じって宝石を掘ってきた GIGAZINE
バイクに乗ったかわいい4人乗りと遭遇
マーケットに向かうには、街からバイクタクシーをチャーターしました。値段は往復5000チャット(約500円)でした。
途中、交差点でかわいい4人乗りと並びました。東南アジアでバイクの4人乗りは日常茶飯事です。前の子供の赤いサングラスがイカします。
顔に塗っているのは、「タナカ」といって涼気を誘う伝統的な化粧品のようなものです。
マーケットへ突入!
15分ほどでマーケットに到着です。このバイクの数を見てください!これでもほんの1部です。世界一のマーケットに胸が高鳴ります。
門には、外国人は1000チャット(約100円)の文字が書かれていましたが、誰にも徴収されませんでした。外国人も僕以外見かけませんでした。
しかし、ここは観光客への土産用のお店で、ヒスイを主に扱っているわけではないようです。
何とかもぐりこむと、ありました。ヒスイです!きれいな緑色ですね。中には赤色のものも見えます。
ヒスイは漢字で書くと「翡翠」と書きます。この「翡」は赤、「翠」は緑という意味の中国漢字です。他にも白や黒や紫やオレンジなどのヒスイがあり、豊富な色合いが見られます。
ここでは、販売だけでなく買い取りも行っているようでした。道端でも、売買が見受けられます。
吐血者の多い原因
歩いていると、人々が口から血のような赤い液体を地面に吐いていきます。
「集団感染!?」と思いつつも、吐く用のごみ箱まで用意されていて、どうやら食べ物の残りかすを口から出しているようです。
そこで、おっちゃんに尋ねると、何やら一つ分けてくれました。いかにも怪しい。
どくだみのような葉の中を見ると、固形物が見え、ますます怪しさを感じましたが、ここはひとつ挑戦してみました。
調べてみると、これはクーンと呼ばれる噛みタバコでした。日本ミャンマー交流協会のHPによると、ヤシ科の植物であるビンロウの果実の種子をカットして、石灰を溶いたものをキンマ(コショウ科コショウ属の植物)の葉にくるんだものだそうです。さらに、「口腔ガンの90%は噛みタバコを愛用する人に発生し、東南アジアで口腔ガンは5番目に多い疾病となっている。」ともありました。むやみにな何でも口にするのはよくないですね(笑)。
古の技が光る宝石の加工現場へ
話を戻します。さらに奥へ進むと、原石が売られているコーナーに差し掛かります。僕が一番心踊る場所!
その一角に、男たちが何やら木製の機械に座って作業をしています。
手元を見ると、ヒスイを磨いていました。こんな古典的な器具を使っていることにびっくりです。
英語の話せるおっちゃんがヒスイの魅力について解説してくれました。この真剣なまなざし……只者ではなさそうです。
「いいかい?この二つの石の違いがわかるかい?こっちの方が価値が高いんだ」
ホントだ!わずかですが、確かに違いがわかりました。「やっぱり、こういった熟練者と一緒にヒスイを買うべきだ」と思ってしまった僕は、すでに術中にはまっていたのかもしれません。
おっちゃんと一緒に買った石の値段
せっかくなので、僕も白のバックにきれいな翠がはえたこの石を3000円で購入しました。最初に1万円を提示され、それを3000円まで値下げしました。
しかし、今になって少し高かったかなと後悔しています。おっちゃんは英語のできない店主と僕の間を介してくれましたが、グルだったんじゃないかと勘ぐってしまいます。素人の僕が石に手を出すのは、カモがネギ背負っている様なものですしね。ちなみに、ヒスイの見分け方は、光にかざし、オレンジの皮のような小さいぶつぶつが見えると天然物だそうです。
このように売買で一喜一憂することを含めて、旅で宝石を買うことの楽しさがあると思います。ぜひ、ミャンマーに行く際にはヒスイ市場に足を踏み入れて、職人の技術に圧倒されると共にヒスイの美しさに魅せられてみてはいかがでしょうか?
文・写真:ぞーしき
HP:COSMOPOLITAN ぞーしきが見た世界のじょーしき
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