幸福度ランキング(2013年)世界1位の先進国デンマーク。そんなデンマークの首都コペンハーゲンに「ヒッピーの楽園」と呼ばれるクリスチャニアという地区が存在します。自由な雰囲気が漂うこの場所は、村ともいえるほど小さな町なのにもかかわらず、訪れる年間観光客は50万人(コペンハーゲン全体の人口は約57万人)にのぼります。
自由で小汚いこの町が、なぜそこまで人を惹き付けるのでしょうか。それにしてもここの自由、もはやアウトローです。最後までご覧下さい。
クリスチャニアはここ(赤の部分)
"Christiania (Locator-Gif)" by Локомотив – 投稿者自身による作品. Licensed under CC 表示-継承 3.0 via ウィキメディア・コモンズ.
自治を自称。国旗や国歌も存在
クリスチャニア (デンマーク語: Christiania) は、デンマークの首都コペンハーゲンにある、850人の住人と34ヘクタールの土地をもつ地区である。自治を自称し、国旗や国歌も存在する。
元々は軍の所有地で、ホームレスが不法侵入している程度だった。不法占拠者の中には、庶民向けの住居が十分に提供できなかったデンマーク政府への抗議を示した人達もいた。
1971年にクリスチャニアの近所の人々が、使われていない土地を子供たちの遊び場にするためにフェンスを壊し、後にジャーナリストのヤコブ・ルドヴィクセンによってクリスチャニアは人々へ開放された。
(Wikipediaより)
HPもある
自称国といえば、現在世界中で問題になっているイスラム国(ISIL, ISIS)を思い浮かべますが、それとは違い、クリスチャニアのホームページに示された標語からは、アウトローどころか健全な意思が感じられます。
クリスチャニアの目標
個人が自由な表現ができ、かつコミュニティに対して責任を持つ自治社会の建設。このコミュニティは経済的自立を必須とし、我々の熱意は肉体と精神の腐敗を退けうることを示す方向に向かわなければならない。
国歌はヒップホップ風
クリスチャニアの国歌
国歌のタイトルは「あなたに私は殺せない」(デンマーク語: I kan ikke slå os ihjel)という、なんとも反骨精神に溢れたもの。いくつか種類があります。
オーソドックスな牧歌系。
現代風なヒップホップ系。
入り口には鳥居風の門
川沿いには墓
クリスチャニアは前述の地図にあるように川に面しており、橋の上からは、のどかな風景が広がります。
ツアーガイドによると、花が供えられたこの岸の一部は墓だそうです。
馬も通っていました。ちなみにこの赤い旗がクリスチャニアの国旗だそうです。
自給自足に近い生活
クリスチャニアでは家具から家まで欲しいものは自分で作るのが一般的らしく、独特の生活風景が広がっていました。
これもおそらく手作りであろう遊具。住人全体の2〜3割程度は子供らしく、家族で暮らしている方もいるそうです。
クリスチャニアには、住人の要望を満たす商品をそろえた倉庫が存在し、そこではお土産用のステッカーにガラスや便器、家のような木の塊など、ありとあらゆる物が売られていました。また、クリスチャニアでは土地を住人同士が共有することが求められ、フェンスがありませんでした。
自由で住み心地よさそうなのですが、勝手に移住することは不可能な様です。ホテルなども無かったので、気軽にここへ滞在しにくるのも困難という印象でした。
そこで…
グーグル先生を頼りに移住方法を探してみた
デンマーク語を翻訳するグーグル先生とのコミュニケーションに苦戦したので、ざっくりした情報ですが…日本を離れてもうここに住んでしまいたい位興味のある方には参考になるかもしれません。
空き家情報がクリスチャニアのホームページで確認できます。インフォメーション→住宅検索→空き家情報という流れです。
まず空き家を探します。物件によって募集の日程が決まっており、指定の時間にその場で移住申請するようです。審査が通った人から抽選で移住者が選ばれます。
移住の条件
移住希望者が適切な住居に滞在希望していること
クリスチャニアの意向に合意すること
審査の流れ
住人のオリエンテーションなどによって審査。審査通過後、実際に家を見学し、申請者全員でのミーティングを行います。「社会状況」「家族構成」「クリスチャニアでの雇用」「クリスチャニア繁栄への貢献」などを加味してさらに審査された後、資金調達のメドがたったら移住できるようです。(家を買うのではなく住宅を取り扱っている団体にお金を支払い、団体から権利を得るというものらしいです。)ちなみに審査に落ちた場合は5日までなら不服申立てを受け付けるそうです。
僕が訪れた時は、空き家のように見えた住宅は多かったのですが、残念ながら真の空き家は見つける事ができませんでした。ここで暮らす選ばれし850人の住人はただ者では無いのかもしれません。
楽園たる由来?喫煙者の独特な匂い…
さて…こうしてクリスチャニアを散歩してきたわけですが、Wikipediaによると、こういった記述も見られます。
この地区の中に、Pusher Street として知られている有名な通りがあるが、そこでは、2004年まではハシッシュやスカンクなどの大麻が、常設屋台で公然と売られていた。
散歩した結果、今でもその名残はあるといった印象でした。行列をのぞくと乾燥たばこの様な物を売る屋台にたどり着いたり、やたらと見かける喫煙者の周辺では、独特な匂いがしました。ドレッドヘアーの人もやたら見かけました。
撮影禁止エリア
この写真のような撮影禁止の看板(画面中央下)は現在もありました。撮影禁止エリア内のそこら中で見かけた看板には「写真を撮ってはいけない」&「走ってはいけない」(走るとパニックが起こるそうです…)と書かれていました。
"Pusher Street". Licensed under CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons.
9つの禁止事項。武器、暴力、防弾服、バイカー服、私用車、火薬製品の売買、花火、盗品、ハードドラッグの禁止
"Christiania common law". Licensed under CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons.
ちなみに、住人に過去の経歴を尋ねるのもタブーとなっているようです。
本当に自由なのか?
そもそも不法居住から始まった町ですが、そうしてできた自由なコミュニティに“自由”に入り込むことはできないようです。自由って難しいですね…
ただし観光するのは自由ですし、のんびりするにはいい場所だと率直に思いました。
コペンハーゲンに行った際には異空間でリラックスしてみてはいかがでしょうか…今では珍しい全域喫煙空間です。
編集長おすすめ!クリスチャニア近くのおすすめホテル
編集長おすすめのクリスチャニア観光にぴったりのホテルが、CABINN メトロです。クリスチャニアから5kmで、スタイリッシュなのに7000円台〜泊れます!
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