※マフィアの写真ではありません。コルカタ市街で見かけたインドの日常風景です。
不思議な体験
こんにちは。世界新聞インターンの光一郎です。今回は2013年の11月に行ったインドで体験した出来事を書きたいと思います。
インドといえば、ガンジス河やブッダガヤ、タージマハルなど、数々の観光地があり、街は騒々しく人が多い国という印象が強いと思います。しかし、僕は観光地とは真逆の、静かで、人が全然いない不思議なインドを体験してきました。
これは僕がインドで、「俺はインディアンマフィアだ!」と言い張るインド人の家にホームステイすることになったお話です。
自称・インディアンマフィアとの出会い
そのインド人を僕は、名前が聞き取れなかったので「Brother」と呼んでいました。
インド初日、僕はたまたま飛行機が一緒だった「倉さん」とコルカタの街を歩いていました。すると、ひとりのインド人が声をかけてきました。
「日本人?何してんの?」
「昼ご飯を食べようと思って」
彼は僕らを大衆食堂のような場所に連れて行きました。ご飯を一緒に食べ、お会計をしようとすると、「ここはインドだ。インド人がおもてなししなきゃ」というのでご馳走に。なんか怪しいと思いつつ、相方の倉さんはすっかり打ち解けていました。
「明日からBrotherの実家にホームステイするけど、一緒に行く?」
Brotherと別れて2人になると、倉さんが急に言い出しました。いつそんな話をしていたのかと気になりつつも、面白そう、でも危険そう、と色々考えた結果、面白そうが勝ち、倉さんと一緒にBrotherの村に乗り込むことを決めました。
Brotherの村へ
翌日、2人で荷物を全部持ってBrotherとの待ち合わせ場所へ。そのまま3人で電車に乗り込み、揺られること8時間。ついに到着。僕も倉さんもどこで降りたのかわからず、唯一分かることといえばデリー方面の電車に乗ったことだけです。そう、僕は未だにその村の場所を知りません…。村の名前も、最寄駅も、何も知らないのです。
帰国後、調べてみるとたぶんこの辺りだと思います。
やばいところに来ちゃったんじゃないか
駅ではBrotherのお兄さんが車で待ってくれていました。命名、Big Brotherです(笑)
そこから車で1時間のところに村がありました。ただ何もなく、目に見える景色は木と土のみ、貸してくれた部屋は土を固めて作ってあり、もちろん電気も水道も通っていませんでした。「やばいところに来ちゃったんじゃないか」という感想しか出てきませんでした。
僕は無事に帰れるのかとても不安になり、隣を見ると、倉さんの焦った表情が、僕の不安を増大させました。
俺はインディアンマフィア
ある時、倉さんと散歩していると「STOP!!!!!!」と大きな声がし、振り返るとBig Brotherが「あっちはマフィアの村だから、部外者が行ったら殺される」「…え?」。一体ここはどこなんだ?ただただ不安だけが募ります。Big Brotherが、僕の顔を見て、不安を取り除こうとしてくれたのか、「もし知らない奴に絡まれたらすぐに俺に言いな。こいつがあるから」とポケットから出したものを見て、不安が恐怖に変わりました。
拳銃です。
そして「俺らの方が勢力が大きいマフィアだから安心しな」と言い放ちました。Big Brother達もマフィアだったなんて…聞き流せばよかったのかもしれません。
さらに追い打ちをかけるかのように、「ドォォォォォォォォォォォン」という急な発砲音。Big Brotherが拳銃を発砲させ、こっちを見ながら笑っています。日本の警察官が使っているような拳銃よりも一回り大きく、銃弾もずっしりとしていました。
ここで殺されるんだな…と本気で思いました。
Q.人を殺したことあるのか?—–A.「Yes」
Q.なぜ捕まらないのか?—–A.「お金があるから警察にもみ消してもらってる」
Q.何人殺した?—–A.「覚えてないけど50人以上は殺してる」
その日の夜は寝れませんでした。
マフィアの村でお留守番
Brother達は毎日、昼は街に出ていて村に姿はなく、夕方に戻ってきます。僕らは彼らに恐怖心しか持っていなかったので帰ってこなければいいのにと思っていました。
その間、置いてきぼりにされた僕らは村の子供達と遊んでいました。この子達がマフィアの子供なのかわかりませんが、子供らしく無邪気に遊んでいます。
相撲や鬼ごっこをしたり。相撲はいつも大勢集めてトーナメント方式でやるらしい。
この村に留まり、農業に従事している人も多く、ほぼ自給自足をしているそうです。
彼らは本当にマフィアなのか?
この村でまるまる3日間過ごしましたが何事もなく、帰りはバスで14時間かけてコルカタ市街まで帰り、一泊して帰国しました。
無事帰って来れ、不安や恐怖心はただの思い過ごしで終わりましたが、一歩間違えたらニュースになっていたかもしれません。二度とインドでホームステイはしないと誓いました(笑)。
彼らは本当にマフィアなのか?これは僕にははっきりとわかりませんでした。ただ「俺はマフィアだ」と言い張っていましたし、信じたほうが面白いので、僕は彼らがマフィアだったと信じています。
文・写真:光一郎
光一郎
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