東京にも同じコンセプトの博物館がありますので、チェック(後述)してみてください。
グーテンターク、世界一周中のShimoです。現在ドイツに滞在中です。
旅をしていると、歴史の新たな側面や、国ごとの常識に直面する機会が多く、それがきっかけでトラブルに繋がることもあります。
ここドイツのあるミュージアムで「人は自分が経験したこと以外のことに対してあまりにも無意識」というようなことを強く実感させられるツアーに参加してきましたのでご紹介します。
Dialog Museumとは?
そこはDialog Museumと呼ばれていて、健常者が視覚障害を経験するという体験型の展示を行っています。
Dialog Museum(HPはこちら)
住所:Hanauer Landstraße 137-145, 60314 Frankfurt am Main
腕時計やミサンガは暗闇で人を傷つける
Dialog Museumはドイツのフランクフルト市内から電車で4駅、歩くと30分程歩いた喧騒から離れた場所にあります。真新しく見える建物に入ると、
すぐにチケットカウンターがあります。今から真っ暗闇の経験をしますが、そのコントラストを強く意識したかのような白く明るいエントランスが迎えてくれます。
チケットカウンターのライトは点字を想像させるデザインでした。なお、完全予約制となっており、事前にコースを予約して訪れます。
料金は90分のツアーで19.50ユーロ(約2,866円)です。60分のツアーで16ユーロ(2,352円)。
屋内には点字ブロックが設置してありました。しかし幅が狭かったり、全ての場所にあるわけでもなく、実用的機能としてではなく展示物として設置してあるようでした。
ツアー入り口では様々な言語が迎い入れてくれます。ようこそとありますが日本語のツアーは無く、予約段階でドイツ語か英語のツアーを予約します。
ツアー入り口前の待合室では老若男女問わず多くの人がツアーを待っていたり、ツアー後の感想を交換していました。
こちらのFrankfurtが拠点として1990年に初めて作られ、Dialog Museumは今では世界各地に16箇所あるようです。東京でもダイアログ・イン・ザ・ダークとして2004年からスタートしました。
ツアーを行う展示場内へは危険物や光を発するものの持ち込みは禁止です。腕時計とミサンガも暗闇の中では人を傷つける可能性があるから外すように言われ、ハッとしました。
点字を作ってみる
ツアーの待合室に幾つかの展示が。手話でアルファベットの大文字は上下に動かして表現するんですね(写真右下)。
屋内見取り図に活用されていた点字の読み替え表があります。見たことがあるこの点字は、ブライユ式点字としてアルファベットの点字は世界共通です。
こちらの4つの筒にはそれぞれ匂いの元が入っていて、嗅覚だけでそれが何かを当てる展示物です。嗅いだことがある匂いでしたが、普段は目に頼りきっている為か1つしか当てることができませんでした…。
多くの人で賑わうブースがありました。何をしているのかというと…
右に見えるペンで紙を強く押すことで点字を書くのですが、読む際は裏返すことになる為、文字を反転させて書かないといけません。この読み替えがかなり難しかったです。
壁にある点字読み替え表を見ながら、一つ一つ確認しながら丁寧に書いてゆきます。
できました!なんと書いてあるかは、読み替え表を参考に読み替えてみてください。20文字強ですが、この量を書くにも30分程かかりました。
こちらがツアー入り口です。日常生活で経験する暗闇は数分目を慣らせばボンヤリと見えてきますが、この入り口から先は100%光が届かない本当の暗闇でした。
ツアーで突きつけられた「健常者の盲目」
展示場内に入る前に白杖を貸し出しされてツアーが始まります。本当の暗闇では一歩を踏み出すたびに勇気がいります。視覚障害者の方がツアーガイドとして誘導してくれ、視覚以外の5感をフル活用しながら様々なテーマの展示場を回りました。30分も過ぎると慣れてはきますが、やはり恐怖感は拭えないので壁伝いに歩き、壁から手を離したりツアーガイドの声が離れると不安感が襲ってきました。
90分のツアーの終盤、ツアーガイドに質問する時間が設けられたので「日常生活で一番困ることは何か?」と質問したところ「Blindness of people(健常者の盲目さ)」という答えが返ってきました。ツアーガイド曰く、白杖を持って歩いていても道端で健常者とぶつかることがあったり、車からはクラクションをならされ、バスや電車に乗るにも一苦労とのことでした。健常者は目が見えるからこそ、周りの状況に気づくことができないことがあると。
この言葉に、今まで気づかず見落としていた、ドイツの街中には日本と比べて点字ブロックがあまり整備されていないことや、多くの公共施設も点字の設置がされていないことに気づきました。
アイルランドのダブリンからきた家族と一緒のツアーでしたが、子供達も楽しみながら参加し、「暗闇で行動することの不便さに気づいた」と言っていました。
旅をしていると、世界には差別や不平等など、数え切れないほどの問題があることを実感します。何事も自分がその状況に置かれるまで無関心であり、本質を理解できないことを今回のツアーで気付きました。多くのトラブルや問題は、理解してはじめて改善に向けた一歩を踏み出せると思います。今後も旅を続けながら、多くのことを経験していきたいと思います。
前述した通り、日本にも東京にDialog Museumがあります。詳細はダイアログ・イン・ザ・ダークのWEBサイトから確認してみて下さい。多くの感覚が研ぎ澄まされ、学ぶことも多いこちらのツアーに参加されてみてはいかがでしょうか?
文・写真:Shimo
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