塩湖が作り出す絶景といえばボリビアのウユニ塩湖が有名ですが、アフリカのエチオピアにも「鏡張り」が見られる塩湖があるのをご存知でしょうか?護衛の兵士を引き連れ、エリトリアとの国境まで行ってきました。
こんにちは。旅する理科教師ぞーしきです。
世界の絶景として知られるエチオピアのダナキル砂漠をご存知でしょうか?僕は、日本で旅の準備をしている時にこのダナキル砂漠を知り、「必ず行きたい」と思いました。そして、ようやく今回、ダナキル砂漠ツアーに参加できたので、その様子をアサレ塩湖編・ダロ-ム火山編・エルタアレ火山編と3回に渡って報告します。
ダナキル砂漠とは?
ダナキル砂漠はここ。エリトリアとの国境に近いエチオピア北部に位置します。日本人旅行者の間では、噴き出す鉱物が一面に広がる景観を「ナメック星」と表現されたりもします。
このあたりはアフリカ大地溝帯に位置し、夏は気温が50度以上、冬でも40度を越える世界で最も暑い場所のひとつとされています。アフリカ大地溝帯はマントルの上昇流が地殻にぶつかり、東西に流れることで大地が引き裂かれ、真ん中に巨大な谷、その両側に山が形成されたのです。ダナキル砂漠はその谷にあたる場所に位置し、標高は海抜下になっています。現在でも火山活動が非常に活発な地熱地帯であり、エルタ・アレ火山に代表される活火山も数多く存在します。また、地中から熱された硫黄などの鉱物が噴き出す温泉地帯、どこまでも広がる塩の湖アサレ湖、隆起によってできた塩の奇岩群など、大地溝帯が造り出した奇跡の景観が楽しめる。(西遊旅行より引用)
バックパッカーには高額なツアー料金
ダナキル火山へはツアーを利用しないと高額な費用になってしまい、到底バックパッカーに手が出せる代物ではありません。僕はメケレという町のエチオ・トラベルアンドツアーズで3泊4日のものを申し込みました。それでも、600ドルからどこまで値切れるかが勝負で、500ドルが最安値でした。今年9月(エチオピア正月)から値上がりしたようです。
4WDで荒野を行く
当日の朝、参加者数を見て驚きました。ツアー会社の前には8台の4WDとたくさんの人。日本人参加者が6名と一番多かったですが、ヨーロッパ・アジア・中東と世界各国から参加者が集い、世界的に人気のあるツアーであることが再確認できました。
僕らの車だけヒュンダイのものでトヨタのランドクルーザーと言われていた僕は旅行会社に少し不安感を持ちました。
初日、車はダナキル砂漠のアサレ塩湖を目指し、荒野を標高2000mから海抜-116mまでひた走ります。
最初は小麦色の穀物のフィールドに風車が立ち並ぶのどかな風景が車窓に広がります。通り過ぎる街には可愛い教会やサボテンが見え、木の枝を手に持った地元の子供が、その真っ白に映える歯を僕らに向けてきます。
さらに進むと標高のせいか、植生が変わります。木の背が低くなり、その形は真上からの直射日光を多く吸収する為か、逆三角柱のようにてっぺんが平らに広がっていました。
イスラム教の遊牧民
3時間程走った所で、ランチの為バラハリ村に立ち寄りました。家がとても簡易な作りになっており、ドライバー曰くここの人達は遊牧民として生活しているとのことでした。
出迎えてくれた子どもたちがとても陽気でした。名前を聞いたところ「ムハンマド」というイスラム系の名前で、アフリカにイスラムのイメージが無かった僕には違和感が残りました。wikipediaによるとエチオピアでは「キリスト教が62.8%と最も多く、次にイスラームが33.9%」となっています。
荒野でラクダのキャラバンに遭遇
昼食後は植物が無くなった道をひたすら進みます。意外と郊外まで道路は舗装されており、冷房付きの車内ともあり快適なドライブでした。
舗装された道路が無くなり、しばらくするとラクダとロバのキャラバンに遭遇しました。
彼らはアサレ塩湖から取れる塩を運んでいます。ラクダは1ブロック約5キロで25個程度のブロックを、ロバはその半分を運ぶようです。
岩塩を採掘する男たち
時間軸がずれますが、翌日に見学したラクダが運ぶ岩塩ブロックの成型現場についても少し記載しておきます。
まず、結晶の割れ目に沿って、木の棒を差し込み、乾いた岩塩ブロックを剥がします。
次に、熟練工が測りを使わずにブロックを決まった大きさに削っていきます。こちらの資料によると彼らは一日に200枚のブロックを成型するようです。
そして、ラクダやロバに括りつけます。左右均等に安定して積荷しないと、ラクダがうめき声をあげるようでした。彼らは一日に200~300ブル(約1000円~1500円)を稼いでいるようです。
ついにアサレ塩湖に到着
話を戻します。車はその後、塩が1m程の六角形に結晶化した大地を駆け抜けます。
そして、出発から7時間程でアサレ塩湖に到着です。この日は東風が強く、水がなびいてしまい、綺麗な鏡張りは見れませんでした。水の量も少ないように思いました。それでも……
夕日が沈む様子はとても素敵で、心なしか鏡張りしているように感じました。
もちろん、地面は塩の結晶です。写真のような可愛い形に形成されている塩も見れてほっこりしました。
ちなみに、このツアーには必ず護衛の兵士が付きます。エチオピア・エリトリア国境紛争(1998年〜2000年)以降、国境エリアでは緊張状態が続いているからです。以前、護衛なしで訪れた西洋人が殺害されています。
夜は満天の星空の下で就寝
塩湖を見学した後は近くの村で就寝です。ベットは簡易的なもので外にそのまま設置されます。
標高が低かったので期待していなかった星空ですが、写真の通り、綺麗なオリオン座をはじめ、5分に1回程度の割合で流れ星も見え、僕にとってはこのツアーのクライマックスでした。
まとめ
今回は天候の関係もあり綺麗な鏡張りは残念ながら見れず、ウユニ並の反射を期待していた僕は気落ちしました。ネットの情報を見る限りウユニ塩湖に匹敵する程反射する時もあるようです。ここはあくまで、ダロール火山やエルタアレ火山の序章といった所でしょうか。しかし、景色の変化を感じながらの4DWのドライブや満天の星空を見ながらの就寝など、期待してなかった脇役がどれも主役並の主張をしてきたおかげで、ツアー1日目としては十分楽しめたと思います。
続く
文・写真:ぞーしき
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