日本で標高が高いスキー場といえばせいぜい2000mというところですが、ボリビアに標高5300m、世界最高所のスキー場があります。「酸素が平地の約半分」という異次元の世界で滑ってきました。
◆ボリビアに雪だと!?
デスクです。ボリビアのラパス滞在時、「世界最高所のスキー場がある」と聞き、狐につままれたような気分になりました。「南米ボリビアにスキー場!?」「しかも、最高所だって!?」。確かに、ボリビアは山の国で、事実上の首都ラパスも標高3600mあるのですが、どうしてもボリビアと雪が結びつかなかったのです。
そもそも、そんなに高いところにスキー場を作る意味が分かりません。だって、酸素は平地の半分以下だと言うし、もしそうならスキーどころではないはず。でもでも、ボリビア人は高地順応できているので、何ともないのかもしれない……。という半信半疑の中、行ってきました。
ラパスの街並み
【チャカルタヤスキー場】
“ボリビアの事実上の首都ラパスの真北、約15kmに位置する。山頂直下の海抜約5300m付近まで自動車道(未舗装)が開通しており、スキー場と、宇宙線研究所がある。万年雪地帯であるから、真夏でも気温は氷点下であり、降雪・積雪もあるので、防寒対策は必要である。また空気が非常に薄いのでわずか100mの登りでも大変にきつく、高山病の危険も伴う。” wikipediaより引用
◆大統領がスキー場でサッカーする国
ちなみに、調べていたらこんな記事が出てきました。
モラレス大統領 抗議のためチャカルタヤ山でサッカー AFPBB News
“国際サッカー連盟が海抜2500メートル以上にあるスタジアムでの試合を禁止する決定を下した事に反対の姿勢を示すため(AFPBB Newsより引用)”だそうです。何故こんなことをするのか?サッカー好きとして解説させてもらうと、ボリビア代表のホームスタジアムは3600mの高地にあるため、「こんな高地でサッカーやってらんねぇ!」と長年、対戦国からブーイングを受けているのです。当然、ボリビア代表としては地の利があるため(ブラジル代表ですら勝つのは難しいレベル)、大統領自らそのアドバンテージを死守しようとこんなパフォーマンスに出るという、南米らしいニュースなのです。
◆チャカルタヤまでの道のりがヤバい
チャカルタヤへのツアーバスは、ラパスのバスターミナルで申し込むことができます(約1200円)。ちなみに、このツアーは「月の谷」という名所にも立ち寄ります。
前のチリ人カップルが道中、30回はキスを繰り広げていました。こっちは1人ですけど、気にしない気にしない。
ラパスは盆地につくられた街です。すり鉢のキワキワまで家が立ち並ぶ姿は圧巻。上に行くほど、貧しい人が住んでいると言われています。
バスは未舗装の急な坂をどんどん登っていきます。
遥か彼方に、すり鉢にびっちり敷き詰められたラパスの街が見えます。
あまりにも車が容赦なく登って行くので、少し不安になってきます。5300mといえば、昔行ったエベレストのベースキャンプと同じくらいの高さです。高山病は大丈夫かな……。あの時もそうでしたが、あまりにも高いところに来ると、聖域を冒しているような居たたまれない気分になります。
明らかに雲が近くなり、まさに天上界といった景色が続きます。ぽつぽつと見える小屋にはまさか人が住んでいるのでしょうかと思っていたら……
天上の通行人と遭遇。
羊とおばあさんの羊飼い
雲に隠れているのが、登山で有名なワイナポトシ(6088m)だそうです。この地点でまだ4500m程度だそうです。あと、800mも登るのか!そして5000mを超えたくらいから……
一面雪に!ボリビアで雪!!現実とはにわかに信じ難い……不思議な感覚です。
◆廃墟と化したスキー場
そして、これがチャカルタヤスキー場です。どこからどこまでがゲレンデなのかが分からなく、いまいちピンとこない。
外に出るとこれは……ラパスより20度は気温が低いのではないか……。たぶん0度くらい?それよりもなによりも、少し歩いただけで息が切れる。酸素半分は伊達じゃない。
ロッジか何かと思いきや宇宙線研究所らしいです。宇宙線って何ぞ?調べてみたら、宇宙空間を飛び交う高エネルギーの放射線のこと(wikipediaより引用)だそうです。よく分かりません。
ココがメインの斜面だそうですが、リフトは動いていません。ガイドいわく、長らく開店休業状態だとのこと。それでもボリビア人のスキーヤーがぼちぼち滑りにくるそうです。
こんな感じで滑るんでしょうか。
標高5300mの看板
雪が降って来て、寒さ倍増です。帰りたい。そして、後ろに見える建物こそ、
スキー場のロッジ。今は無人で、トイレしか使われていません。
もひとつロッジ。廃墟マニアにはたまらないかも。
空気は薄いわ雪は降ってくるわの中、空気の読めないガイドさんが「これから頂上に行く人ー?」と恐ろしいお誘いをかけてきます。往復で30分だそうです。できれば行きたくないけど、頑張れば行けそう……。すごく微妙なラインです。参加者の半分がロッジに留まることに。僕はといえば……
行ってやろうじゃありませんか。
何度も心が折れそうになりながら行った頂上には驚くほど何もありませんでした。霧がかかっていて、景色も見えなかった……。
◆スベってみた
意気消沈して頂上から下っている途中、ふと、僕はここに来た目的を思い出したのです。
雪の上に、ジャケットを広げます。
ずざざざざざ
楽しいっ!
「おい、日本人!何バカなことやってんだ!早く行くぞ!!」とアルゼンチン人に急かされるの図
という訳で、世界最高所のスキー場で見事にスベってきました。日本のスキー場をイメージして行くと精神的にも肉体的にもダメージが大きいことは否めません。標高5000mを体感したいドMの方や廃墟マニアにオススメの珍スポットです。
文・写真:デスク
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