夫婦で挑んだオーストラリアのワーホリ。10ヶ月のファームジョブ体験の6か月を過ごしたカナーボンで、忘れられない家族に出会いました。
こんにちは!新婚旅行で世界一周中のNO TRAVEL NO Life、大地と涼です。連載第14回目は、ワーホリ中のオーストラリアからお伝えさせていただきます。
僕たち夫婦は合計10ヶ月間のファームジョブ生活の最後6ヶ月間をカナーボンという場所で過ごしました。カナーボンはパースから約1,000km北上した田舎町。海と畑が広がるのんびりとした場所です。
今回はこのカナーボンのファームジョブのでお世話になった家族について書かせていただきます。この家族との出会いが僕たち夫婦のワーホリ生活を充実したものにしてくれ、オーストラリアを大好きな場所に変えてくれました。
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カナーボン(Carnarvon)
オーストラリアのファームジョブで働く人は季節労働者とも言われ、収穫シーズンに一番必要とされます。カナーボンの前のファームではトマトの収穫がピークを過ぎ、次の仕事を探すことになりました。
シーズンが過ぎてしまった場所ではファームジョブを見つけにくく、仕事を求めて広いオーストラリアを車やバス、飛行機などで移動する人も珍しくありません。
実際に僕たち夫婦も、ドニーブルックという場所からカナーボンまで約1,200kmの距離を車で移動しました。
到着したカナーボンで、すぐに働ける格好でレジュメ(履歴書)片手にファーム巡りを始めたものの、目に入ってくるのは「NO JOBS」「NO WORKS」の看板。
…どんどん不安な気持ちに。
ファームで働いている人を見つけたら「ボスに会いたい」と声をかけ、「働かせて欲しい」ボスに直接交渉するのがカナーボンでの仕事の探し方でした。
ファームジョブ探しの会話はこんな感じでした…
ある日のボス:いま人は足りてる!
ある日のボス2:あと2、3週間したらまた来てよ!
こんな風に話してくれるのはいい方で、僕たちの姿を見たら首を横に振りレジュメ(履歴書)すら受け取ってもらえない…というのが当たり前でした。
…あとになってわかったのですが、この「 NO JOBS 」「NO WORKS 」の看板は、ファームに仕事を求める人が何組も訪れ、その都度、仕事をストップしなければいけないことを防ぐためのものだったのです。
涼:ここもなんかダメそうだね…。
大地:とりあえずレジュメだけでももらってもらおう!
その日は、前日に2人で作った30枚の手書きのレジュメを全て配ることが目標でした。しかし、こうも断り続けられると本当に心が折れそうになります。実際に仕事を探しても探しても見つからず、他の地域へ移動した求職者もたくさんいました。
農作業中の女性を発見し、何だか今までと違う感触を僕たち夫婦は感じ、彼女が作業している元へ小走りに駆け寄って行きました。
涼:いま仕事を探しているのですが…
大地:これがレジュメです。今までトマトのピッキングなどの経験があります!他にも…
女性:あら、ちょうどいいわ!今日の午後から新しい苗を植えるから、また1時ごろに来れる?
大地・涼:えっ!!!
大地・涼:いま、何て言いましたか???
まだシーズン前で仕事がそんなにないため、1日、2日だけということですが、苗植えを手伝わせてもらえることになったのです!
結局、苗植えは3時間くらいであっという間に終わってしまいました。僕たちに手伝いに来てと言ってくれた女性「ジョディー」はここのファームのボス「ディーン」の奥さんでした。
ジョディー:ありがとう助かったわ!
そういえば、給料は時給なのか歩合制なのか?時給ならいくらなのか?働く上で大切なことを一つも聞かず、ただ一生懸命に与えてもらった仕事を黙々とやっていました。もしかしたら給料ないかも?というかそもそもこれは仕事ではなくお手伝い……と、
僕たちがモジモジしていると…
ディーン:お前たち、明日も働きたいか?
大地・涼:も、もちろんです!!!
結果的に、ディーンのこの一言で、僕たち夫婦はここでファームジョブすることになったのです!この時は、半年ここで働くことなど思いもしていませんでした…
2人で2万個のガーリックを植え切った畑。その後の雑草抜きはさらに大変でした。
ディーンのファームは、きゅうり、ニンニク、かぼちゃ、ズッキーニなどの野菜と、バナナ畑を家族で営むオーガニックファームです。忙しいシーズンには、家族8人が総出で手伝うアットホームな環境でした。
ただしいくら家族で作業すると言っても、収穫、箱詰め、発送、雑草抜き、新しい種植え…と、やることが毎日たくさんありました。
僕たち夫婦が、朝にディーンから指示を受けて、夕方まで顔を合わせず作業するということもよくありました。時には、ディーンの英語の指示が理解できておらず、2人でずっと違うことをやっていたことも…!
それでもディーンはミスを怒ることはなく、仕事が終わると冷えたビールを持ってきて僕たちを褒めてくれました。奥さんのジョディーも「今日の作業は腰にきたでしょ?大丈夫?」といつも気遣ってくれました。
ファーム仕事は暑い中で単純作業を繰り返す、肉体的にも精神的にも大変なものが多かったですが、2人の優しさにいつも帰り道は幸せな気持ちでいっぱいでした。
このファームの愛犬バディ。僕は一方的に親友だと思っていました。
ディーンは自分のファームが忙しくない時は、僕たち夫婦に仕事を紹介してくれました。自分の好きなバイクレースやフィッシング、ホエールウォッチングにも連れていってくれ、BBQをする時など、何かあれば僕たちを招待してくれました。
こんなに良くしてもらっていいのだろうか?英語も満足に話せず、仕事も決して早くない僕たちを、ディーンはなぜか「ベストワーカー!」と言っていつも褒めてくれました。
僕たち夫婦はディーンのために働きたいと思い、この家族のためになればとさらに頑張りたくなりました。毎日、仕事に行くのが楽しく、帰り道は気持ちのいい疲労感で充実して日々を送らせてもらっていました。
海釣りの遭難事故をのりこえたり、ホエールウォッチングに連れてってもらったりと、よくしてもらったファームのボス(右)。
ディーンの子供たち3兄弟も忙しい時にはファームジョブを手伝い、休みの日は親子でバイクレースを楽しんでいました。家族で経営するこのファームはチームワークは抜群でした!
涼:こんな家族になりたいね!
大地:あんな家族になりたいね!
ディーンの両親やジョディーの妹さんもみんな優しくて、僕たちはこの家族のことがドンドン好きになっていきました。
僕の誕生日にたくさんのオーガニック野菜と果物をプレゼントしてくれました!
はじめは、1日、2日のつもりで働き始めたディーンのファーム。いつまで働くことができるか聞いたときには「お前たちがいたいだけいたらいい!何なら隣の家を使ってもいいぞ!」と冗談なのか本当なのかわからないことを言ってニヤっと笑い、僕たちの不安な気持ちを和らげてくれました。
僕たち夫婦はディーンに雇われ、働き、お金をもらっていました。それは雇い主と労働者の関係です。しかし、ディーン家族から愛情をもらい、勝手に家族の仲間入りさせてもらったような感覚にすらなっていました。
だから、ディーンにいつまで働きたいか聞かれた時、最初は 6月末に去る予定だったファームで、結局9月末までお世話になってしまいました。
僕たちはカナーボンでディーンの家族と出会い、カナーボンだけでなく、オーストラリアという国が大好きになりました。はじめは何も知らなかったこの場所が、こうした出会いによって、またいつか帰ってきたいと思う場所にまで変わっていました。
そして何より、家族で働く幸せを6ヶ月間ずっとそばで見させてもらっていました。もちろん大変なこともたくさんあると思うけれど、それ以上の幸せをディーン家族は僕たちに教えてくれました。
オーストラリアのカナーボンでのファームジョブの体験は、これから訪れる新たな場所でも、また会いに戻りたいと思えるように、旅をしていきたいと強く感じさせてくれたのです。
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