こんにちは!旅する理科教師ぞーしきです。
今回、ドイツの化石の街・ゾルンホーフェンでたまたま泊まった宿が、まるで博物館のようにたくさんの化石を展示していました。加えて、経営しているご夫婦もとても親切にしてくださり、ぜひ皆さんとシェアしたいので紹介します。ここに辿りついた経緯は男のロマンをこじらせた僕が、世界に11体しかいない「始祖鳥」に会いにいった話を参照。
場所はここ。HOTEL ADLERという名前です。Booking.comの予約ページはこちら
ゾルンホーフェンに着いた僕は、暗く、雪がこんこんと降る中、駅前の看板に表示されていた街唯一のこの宿を目指しました。
着いたのは午後6時前(写真は翌日撮影)。大きな街だと高を括っていた僕はもちろん予約などしていません。しかも、宿の照明灯は付いていませんでした。
恐る恐る扉をたたくと、オフシーズンで営業していない時期にも関わらず、快く受け入れてくれました。こちらがオーナーのグランパさん。
こちらは奥さんのソニアさん。夫婦二人できり守りしているこの宿は、年間4000人以上も来客がある程の人気宿だそうです。それには、彼らの人柄ともうひとつ大きな理由があったのです……。
玄関を開けてすぐ目に入るのは、この地域で発掘されたアンモナイトと翼竜の化石です。
直接壁に埋め込まれているのもありました。もちろん、本物です(笑)。
この部屋もよく見ると……出窓に使われている石材に化石が入ってました。これは、ジュライエローと言って日本橋三越前(東京メトロ銀座線)の地下通路にも使われている石材になります。これは、ここゾルンホーフェンが採掘場所です。よく見ると、薄暗い模様のようなものがありませんか?それが全部化石になります。アンモナイトやベレムナイトと言われる烏賊の祖先のようなものまで見えました。まさに、化石の忍者屋敷です。
極めつけはこれ。部屋に向かう途中、らせん階段の中央に位置する恐竜の骨格模型。ここまで来るともう博物館ですね。
グランパさんにこの宿を建てた理由を聞いてみました。彼は「My house is my life.」と、レトロ感漂うストーブにマキをくべながら話してくれました。彼は、過去にダニに噛まれ生死を彷徨うほどの大きな病気を患い、その復帰をきっかけに兼ねてから夢だったホテル経営を始めたと言います。
以前は法律家としてデスクワークをこなす日々でした。しかし今は「毎年、色々な人に会って話し、彼らの為に忙しなく働くことが楽しいんだ」と旅人の僕に気を使ってくれたのか、そんな話もしてくれました。
ちなみに、彼は、自分たちの為に用意していた夕食の鴨のローストを突然の来客に無償で提供してくれました。ビールも飲み放題です。まさか、ホテルでドイツの家庭料理が食べられるとは思っていませんでした。これは美味しかった。
「この家が人生」というように、彼のホスピタリティ溢れる性格が滲み出る家でした。きっと、この化石達も僕らの目を飽きさせないようにという、おもてなし精神の一環なのでしょう。もし、ドイツに来てヨーロッパの冷たさを感じたら、この宿に来ることをお勧めします。化石達をはじめ、オーナーご夫婦があなたの事を暖かく迎え入れてくれるでしょう。
文・写真:ぞーしき
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