富士山の山頂に匹敵する、世界一高い場所にあるペルーの湖・チチカカ湖。草で作った島の上に暮らす住民の暮らしに密着してきました。
こんにちは。無期限で世界をゆる〜く放浪中のカイです。
ペルーとボリビアにまたがる世界一高い場所にある湖・チチカカ湖で湖上生活をする人々に会ってきたので、知られざる彼らの生活と本音を突撃インタビューしてきました。
世界一高い場所にある湖・チチカカ湖
訪れたのはペルー・プーノ。ここはペルー側のチチカカ湖観光の拠点の町で、街中は多くの観光客で賑わっていました。
チチカカ湖は船が航行できる湖の中で世界最高度に位置する湖。標高は3800mにもなり、富士山の頂上並み。
ペルーのクスコからやってきた筆者、すでに高度順応はできていたので問題ありませんでしたが、日本から直接向かうと高山病にかかってしまう人も少なくないでしょう。
この町からチチカカ湖に浮かぶ浮草の島々ウロス島へ観光ツアーを使っていくことができます。プーノの街中にはいたるところにツアー会社があるので、その中の一つで翌日の半日チチカカ湖ツアーを申し込みました(料金20ソル)
翌朝、9時に宿までツアー会社のお迎えがきてくれてフェリー乗り場へと向かいます。桟橋の間を埋め尽くすように船がずらり。個人所有の船ももちろんあるでしょうが、みたところほとんどが観光用。すごい数です。
チチカカ湖の湖面はとても滑らかで静か。遠くに、湖の民が小さな船で漁をしているのを見ることができました。
人が住むとされるエリアへ
船が出港してほどなくして浮草がちらほらと。これがトトラといって、湖に住む人たちはこの草で島を作っているのだとか。
さらに20分ほど船が進むと、人が住んでいる気配が。ちなみにウロス島とはチチカカ湖に浮かぶトトラでできた浮島の総称。湖には40以上もの島があるのだそうです。
湖上の民に会えるのももうすぐ!
チチカカ湖に浮かぶ島に到着
港を出てから30分くらいで目的の島に到着しました。伝統衣装を来たお母さんたちが観光客を出迎えてくれます。笑顔がすてき。
島は本当にトトラでできていて、上陸してみると足場はしっかりとしているのですが、どことなくフワフワ感はあって、なんとも面白い。
住人による島の作り方の説明
島に到着してまずは、島の成り立ちについてお勉強。チチカカ湖に住む人々の先祖のお話から、
具体的なこの島の作り方。トトラを束ねて重ねて、下の方のトトラが腐ってきたらまた新しい束を重ねて、という風にトトラを何層にも重ねて島を作ってるんだそう。トトラは水よりも軽いため、浮きやすいのも特徴とのこと。ふむふむ、勉強になります。
また、実はこのトトラ、島自体だけでなく家や家財道具のすべての材料にもなっているのです。漁や移動手段としても使われる船ももちろんトトラ製。
なぜわざわざトトラで作るの?
島のおばちゃん曰く「だってトトラしかないんだもの。トトラで作るしかないじゃない。」とのこと。マリーアントワネットばりにドヤ顔でおばちゃんが答えてくれました。確かに、なるほど。
さらにこのトトラ、なんと食料にもなっちゃうんだとか。おばちゃんたちがおもむろに、若く青いトトラを選んで皮をむいて、パクッ。おいしいおいしいといってむっしゃむしゃ食べていました。
私もためしに一つ頂いてみたのですが、うーん、ただの青臭い葉っぱ、といった印象。お世辞にもおいしいとは言えない代物でした。すみません。
ぶっちゃけ、島での生活ってどうなの?
このようにすべてがトトラでできたこの小さな浮島での生活はいったいどういったものなのでしょうか。島のおばちゃんと話す時間があったので、ぶっちゃけたところを色々聞いてみました。
1)料理などので火は使うの?
→トトラの上で、トトラを燃やして調理している。
写真の模型のように、各家には小さな土でできた釜戸のようなものがあり、その釜戸にこれまた乾燥したトトラを焼べて調理を行うのだとか。危なくないのですか?と質問したところ「慣れてるから大丈夫」とのこと。トトラで自炊はなかなかリスキーのようです。
2)電気はあるの?
→すべての家ではないけれど、最近はソーラー発電で電気を調達している家も多くなってきたよ。
てっきり暗くなったら寝る生活をしているのかと思いきや、意外にも最近はソーラー発電を利用した電力供給が容易になり、電球やテレビがある家庭もあるんだとか。
3)トイレはやっぱりぼっとん便所なの?
→全体の70%以上が汲み取り式便所。残りは昔ながらのぼっとん便所
人が生きる上で必ず出てくる排泄物。湖のトイレは今は7割以上が政府支給の汲み取り式トイレとなっていて、そのまま湖へ垂れ流す方式のトイレは少数派となってきているそう。週に何度か汚物回収の船が巡回してくれるんだとか。
4)島にお風呂はあるの?
→シャワーはないので、たまに陸に浴びに行く。
ウロス島の島民は基本的にシャワーを浴びません。
高所にあるチチカカ湖は非常に乾燥しているため汗もかきにくく、体臭も気になるレベルまで臭わないそう。低地で生活している私たちからしたら1日でもシャワーを欠かすと「汚い」と感じる人もいるかもしれませんが、彼らからしたらシャワーを浴びないことが普通なのです。
とは言ってもたまにはシャワーを浴びたくなるのも本当。そこで週一回・毎週日曜日、プーノの市場に漁でとった魚を売りにいくときに、市場併設のシャワーを浴びる人もいるのだとか。浴びて週一回。ウロス島の人々にとってはそれで十分なのです。
5)ぶっちゃけ、この生活は快適?
→「ここ以外を知らないからわからないわ。日本の方が便利なんじゃない?」
最後に、よく話をしてくれたおばちゃんにぶっちゃけた質問をしました。おばちゃんは引き続き笑顔で、「ほかを知らないから…比べようがないから、わからないわ」と答えてくれました。
おばちゃんにとっては、湖での生活が快適かそうでないかは問題ではなく、そこで生きていくしか選択肢がありません。
「日本に行ってみたいわねぇ」と無邪気に笑うおばちゃんを横目に、バカな質問をしたなぁと複雑な気持ちになってしまった筆者でした。
世界最高度の湖では、人々が助け合いながらたくましく生きていた。
島での滞在を終えて、おばさんに手を振りながら私たちの船は別の島を見学に向かいました。
大小様々な島が隣接する場所では、民家だけでなく小学校や幼稚園があり、子供たちがトトラでできた校庭で遊んでいる姿も見ることができました。
彼らは昔から、この湖の上でトトラを編んで島と、船や身の回りのものすべてを作り、協力しながら生活を続けてきたようです。
島の中では魚を養殖しているところもありました。
最初の島で出会ったおばさんをはじめ、ウロス島の人々は観光客に対してとても親切で、ざっくばらんにいろんな話をしてくれました。そんな人たちと話したり、子供たちの笑顔を見ていると、日本人の私からみた「快適さ」とはまた違った軸での「心地よさ」がここの生活にはあるのではないかと思ったのでした。
3時間ほどウロス島を見学したあと、群生しているトトラの間を通って、船はもとの船着場へ戻っていきました。
見学ツアー代も安く、時間的にも手軽に行ける割に、大満足で陸地へと帰ってきた筆者。いろいろと考えるところの多い有意義な半日ツアーとなりました。
プーノはペルーとボリビアの国境近く、この二カ国を陸路で通過する際は通りやすい場所だと思うので、南米旅行のルートの中にぜひ組み込んでいただきたいスポットの一つです。文明社会が忘れかけている「心地よさ」を垣間見ることができるかもしれませんよ。
以上、ペルーよりカイでした。
カイリカコ
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