メキシコ南部オアハカからバスを乗り継いで4時間。絶景・秘境・奇景の全てがここにある、石の滝「イエルベ・エル・アグア」を訪れました。
こんにちは。「人知れず」という言葉に割と引かれがちな旅人・カイです。
メキシコの観光地と言えば、マヤのピラミッドをはじめとする「古代遺跡」のイメージが強いですが、今回はメキシコでぜひ訪れてほしい自然の絶景、イエルベ・エル・アグアをご紹介します。
別名「石の滝」。ここの秘境感、一見の価値アリですよ…!
まず、イエルベ・エル・アグアとは…と、ネットでカタカタやってみるのですが、なんせ情報が少ない!数える程しかその情報が出てこないのです。
ウィキペディアでも日本語では情報が出てきません…情報収集の段階から「人知れず」感が半端ないですね。
イエルベ・エル・アグア(スペイン語:沸騰する水)は、連なる滝のように見える天然岩石の集合体。メキシコのオアハカに存在する。イエルベ・エル・アグアまでの道は、狭く曲がりくねっており、舗装されていない。参照:「Hierve el Agua」
個人ブログや英語版ウィキペディアから集めた数少ない情報によると、イエルベ・エル・アグアはオアハカの南東70kmに位置し、ミネラル分の強い湧水が長い年月をかけて崖を溶かし、滝のような岩を形成したとのこと…。
これだけではあまりよくわからなかったので、実際に行ってみることにしました!
石の滝「イエルベ・エル・アグア」
イエルベ・エル・アグアは、他の観光地と合わせてツアーを組んでいくのが主流らしく、オアハカの街中にはいたるところにツアーを勧誘する告知が見受けられました…が、
「自力で行った方がなんかおもしろそう…」と思った私は、ツアーを使わずローカルバスを乗り継いで行ってみることにしました。
オアハカの街からミトラ行きのバスに乗り、2時間ほど田舎道を走ります。このときまでは快適なバスの旅でした。
ミトラについてからは小さな乗り合いバンに乗り換えて、さらにひたすら山道を進みます。道中の景色からすでに絶景。
…ここまではよかったのですが、山道を30分も進んだころ、ツアーを使わなかったという選択を後悔しはじめた私…。
なにせ山道に次ぐ山道。続くガタガタの砂利道…。ひどく揺れるわ急なカーブはあるわで、快適な旅とは程遠い苦行のような道中でした。
そんな山道を行くこと2時間強…おしりの皮がいい加減限界…というところで、やっとバンはイエルベ・エル・アグアの入り口に到着しました。長かった…。
バンを降りたあとは、写真のような山道を歩いていきます。左側は鋭い崖になっていました。
すでにこの時点で、遠くまで続く山の迫力に圧倒されていました…。
メキシコは砂漠とテキーラのイメージが強いですが、実は山が多く、街を出るとすぐに山の絶景を楽しむことができます。
視界を少し広げると山の上を数匹のコンドルが弧を描くように飛んでいて、「あぁ。遠くにきたんだなぁ…」と、思わずため息が漏れました。
そんな山道を5分ほど歩いて、ついに「石の滝」イエルベ・エル・アグアに到着です。
目の前に現れた景色はまさに絶景。岩でできた滝はとても神秘的で、自然が作り出した芸術と呼ぶにふさわしい佇まいです。
滝の後ろには遠くまで山が連なり、人の営みというものが一切感じられません。
ありきたりな感想ですが…
実際に、壮大な自然を前にすると、自分がとてもちっぽけな存在に感じられました。景色に見惚れて、しばらくこの場所から動けなくなってしまったことは秘密です。
谷を望む崖の反対側では、水がまるで沸騰しているかのように泡立ちながら、こんこんと湧きだしていました。
スペイン語で、イエルベ(沸騰する) アグア(水)と呼ばれる所以ですね。
柵の外でも水が湧き出ている場所があったので触ってみたのですが、勢いよく湧き出すしゅわしゅわとした細かい泡がジャグジーのようでとても心地よかったです。
…でも、気持ち良くてしばらく触っていたら手がしわしわになってしまいました(笑)
湧き水が流れ出た先には、まるで空に浮かんでいるかのような天然のプールができていました。
いくつかあるプールでは、水着を着て泳ぐことができます。水深は意外と深く、一番深いところで1m20cmもあるとのこと。
谷間にある崖の上なので風が吹くと少し肌寒さも感じたのですが、水自体は冷たすぎず暑すぎず、太陽が出ていれば浸かるにはちょうど良い温度でした。
プールからの眺めもまた絶景。崖の縁ギリギリまでいくことができるので、スリルも抜群です。
縁にもたれかかって景色を眺めると、文字通り空に浮かんでいるような感覚を楽しむことができました。ちなみに、いくら開放感抜群だからといってもヌーディストプールではないので、水着着用必須です。私が訪れたときに、水着を持っていなかった欧米人カップルがそのまま全裸になって泳ぎだしそうだったので注意されていました。
実はこの場所、ただの自然の絶景というわけではなく、2千年以上も前から人々が灌漑施設を作り、生活の場所としてきた歴史もあります。
その名残を感じることはできませんでしたが、生活の場、またスピリチュアルな場所として、メソアメリカの人々の信仰と生活の重要な場所となっていたようです。
そんな歴史背景も加味しながらこの景色を眺める、連なる山々と頭上を旋回するコンドルたちから、当時の文明の息吹のようなものが感じられ、とてもノスタルジックな気分に浸ってしまいました。
ガイドブックにもあまりその情報が載っていないイエルベ・エル・アグア。自力で行くとなると少々大変ですが、お尻を痛めた分だけ、見える景色の美しさは格別です。
タコスとピラミッドに少し退屈した旅人は、ぜひメキシコ随一の秘境「イエルベ・エル・アグア」を訪れてみてはいかがでしょうか。
以上、カイでした。
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