ウェブマーケティングのツールとして、ブログ形式の情報発信サイトを、オウンドメディアといいます。
オウンドメディアは大企業を中心に盛んに運営されていますが、中小企業こそ、オウンドメディアを積極的に活用すべきです。
オウンドメディアを活用すれば商品の認知度を上げたり、ブランド強化を図ることができます。
今回の記事では、中小企業のウェブマーケティング担当者のために、オウンドメディアを作る目的と、そのメリットについて解説します。
目的をしっかり理解することで、オウンドメディアの運営方針が定まり、軸のぶれない記事が書けるようになり、成果が出やすくなります。
中小企業がオウンドメディアを作る5つの目的とは?
中小企業がオウンドメディアを作る目的は、主に次の5つになります。
- 企業や製品の認知度を上げ、ブランディングを強化する。
- ECサイトや公式サイトへアクセスを供給する。
- 潜在顧客にアプローチし、顧客に育てる。
- 既存顧客のロイヤリティ向上を図る。
- 優秀な人材を採用する。
以上のように、5つの目的がありますが、すべてを満たす必要はありません。
あなたの会社にあった目的を定めるようにしてくださいね。
では、上記5つの目的について詳しく見ていきましょう。
より具体的にイメージしてもらうため、
「テントなどのアウトドア製品を製造している中小企業」
を想定してお話します。
1.企業や製品の認知度を上げ、ブランディングを強化する
オウンドメディアで、企業活動の紹介や製品情報を発信し、認知度の向上を狙います。
中小企業は、優れた製品がありながら情報発信力が弱いために、その良さを十分にお客さんに伝えきれないケースが多いのですが、オウンドメディアを持つことで情報発信力を強化することができます。
オウンドメディアで製品の良さや使い方、事例などを発信することで、認知度を上げ、ブランディングを強化することができます。
例えば、
- テント生地へのこだわり(撥水性や耐久性、軽量化など)
- テント開発の背景や開発ストーリー
- 一人でも組み立てやすい設計思想
など、製品スペックなどの説明だけではなく、製品へのこだわりや開発ストーリーなども発信します。
「こだわりや思い」などといった、ECサイトやカタログでは伝えきれない情報がユーザーの共感を呼び、ブランド強化につながるのです。
オウンドメディア事例:サイボウズ式(サイボウズ株式会社)
https://cybozushiki.cybozu.co.jp/
サイボウズはグループウェア「サイボウズ Office」シリーズなどを開発・販売しているIT企業です。
オウンドメディアで、チームの生産性アップやマネジメント、ワークスタイルなどの情報を発信しています。
サイボウズの認知度を上げ、グループウェアなどの製品やサービスの問い合わせを増やすことを目的としています。
2.ECサイトや公式サイトへアクセスを供給する
自社製品やサービスに関連する検索キーワードを設定し、記事を書きます。キーワードは購買に直接つながるものを想定します。
検索エンジンからオウンドメディアへ集客を図り、さらにそこからECサイトへ誘導、購買につなげることを目的とします。
例えば、以下のようなキーワードです。
- ソロキャンプ テント おすすめ
- テントファクトリー 評判
- ソロテント 1万円台
など、購買に直結するキーワードを設定し、記事を書きます。
記事が増えれば増えるほど、集客の窓口が広がっていき、アクセスアップにつながります。
さらに、製品やサービスに関連するニュースなど、トレンド情報も記事にしていくと、アクセスが爆発的に増えることも。
そして、オウンドメディアに集めたアクセスを自社のECサイトや公式サイトの問い合わせページ等へ誘導します。
オウンドメディア自身は収益を生まないのですが、アクセスの供給源として非常に重要な役割を担うのです。
オウンドメディア事例:侍エンジニア塾ブログ(株式会社侍)
プログラミングスクールを運営する株式会社侍のオウンドメディア。
プログラミングスクールへの送客を目的として運営されています。
3.潜在顧客にアプローチし、顧客に育てる
人々がネット検索をする目的は、「悩み事の解決方法や、知りたいことについて調べたい」というもので、「何かを買いたい」ニーズよりも「何かについて調べたい」ニーズのほうが多いのが実情です。
この「調べたい」「知りたい」というユーザーに、役立つ情報を提供することで潜在的なニーズを掘り起こし、顧客に育てることができるのです。
「コンテンツSEO」と呼ばれる手法ですが、顧客が検索するであろうキーワードを想定して、記事を増やしていきます。
例えば、以下のようなキーワードです。
- 薪ストーブとは
- メスティン ご飯の炊き方
- ファイヤースターター 火起こし コツ
などを記事にして発信します。
自社商品の紹介や売り込みではなく、ユーザーに役立つ情報を発信するというスタンスが重要になります。
役立つ情報を届けることで潜在顧客を育て、購買につなげることを目的とします。
オウンドメディア事例:北欧、暮らしの道具店(株式会社クラシコム)
北欧雑貨などを扱うECサイトですが、オウンドメディアと一体になったサイト運営をしています。
商品に関連するお役立ち情報やコラムなどを発信し、潜在顧客との関係を構築。商品の購買につなげることを目的としています。
4.既存顧客のロイヤリティ向上を図る
既存顧客に対して、製品やサービス購入後のフォロー記事を書くことで、顧客との関係性を深めることを目的とします。
例えば、
- テントのメンテナンス方法や保管方法。
- オシャレなキャンプサイトの設営事例。
- 目的別、タープの貼り方5選のご紹介。
などを発信することで、製品購入後の満足度を高め、固定客化・ファン化することが可能になります。
また、顧客から製品レビューを募ったり、インタビュー記事を書いたりと、顧客との双方向のコミュニケーションツールとしての活用もできます。
オウンドメディア事例:くらしの良品研究所(株式会社良品計画)
無印良品が運営するオウンドメディア。
既存顧客とのコミュニケーションとして、無印商品に対するリクエストに答えたり、顧客の要望を商品開発に反映し、開発内容まで公開しています。
5.優秀な人材を採用する
オウンドメディアでリクルート情報を発信し、優秀な人材を採用することを目的とします。
例えば、
- 新入社員の仕事ぶりを記事にする。
- 先輩社員や人事担当者からのメッセージ。
- 福利厚生や仕事内容についての詳しい情報。
などを発信します。
学生からの質問を受け付け、FAQ形式の記事にする方法もあります。
自社のリクルート情報だけでなく、学生のリクルート活動に役立つ情報も発信することでアクセスを集めることもできます。
オウンドメディア事例:メルカン(株式会社メルカリ)
メルカリが運営するオウンドメディア。
会社の紹介や先輩社員へのインタビュー、経営陣の話題、研修内容など、メルカリという会社の実情を詳細に発信しています。
まとめ
オウンドメディアの5つの目的を説明しましたが、いかがだったでしょうか?
目的をしっかり定めることで、オウンドメディアの方向性と記事内容が決まってきます。
最初に目的を明確にしないと、メディアとしての一貫性がなくなり、雑記ブログのような内容になってしまうので、気をつけてください。
オウンドメディアは、成果が形になるまで時間がかかります。また、「何記事書いたら完成」というものでなく、コツコツと時間をかけて記事を積み上げていく必要があります。
オウンドメディアの運営は、思っているより大変かもしれません。
しかし、積み上げた記事ひとつひとつが、あなたの会社の資産として、長期にわたって様々なメリットをもたらしてくれます。
ぜひ、あなたの会社もオウンドメディアを立ち上げ、さらなる成長をめざしましょう。