フィレンツェへの旅行を前に、スリやひったくりが多いと聞いて不安を感じている方は少なくないと思います。
観光客を狙った組織的なスリグループの存在が報告されているという情報を目にしていれば、夜の外出や宿泊エリア選びに慎重になるのは自然なことです。
この記事は、フィレンツェの治安を「良い・悪い」で評価するものではありません。
世界40カ国以上を訪れた編集長の経験をもとに、治安は「場所・時間帯・行動」の組み合わせで考えるという軸でまとめています。
外務省と在イタリア日本国大使館の情報をもとにフィレンツェで注意が必要なエリアを紹介するとともに、治安目線でおすすめの宿泊エリアを観光重視・落ち着いた滞在・交通アクセス重視の3つの目的別に取り上げます。
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フィレンツェで注意が必要と言われるエリア
フィレンツェは世界有数の観光都市ですが、旅行者が集まる場所には、それを狙った犯罪も発生しています。
在イタリア日本国大使館や外務省の情報をもとに、旅行前に把握しておきたいエリアを3つまとめました。
サンタ・マリア・ノヴェッラ駅周辺(Santa Maria Novella Station Area)
サンタ・マリア・ノヴェッラ駅周辺は、スリと置き引きに注意が必要なエリアです。
フィレンツェの玄関口にあたる主要ターミナル駅で、空港バスや市内バス、イタリア各都市への鉄道が集中しています。
到着したばかりの旅行者や大きなスーツケースを持った人が常に行き交うエリアであり、在イタリア日本国大使館はこの駅周辺で日本人旅行者によるスリ・置き引きの被害が多数報告されているとしています。
Wikivoyageも、駅の出口付近で気を逸らして盗む手口が使われていると注意を促しています。
切符の購入や乗り換えで荷物を下ろした瞬間、地図を広げて確認している間といった、注意が分散しやすい場面が特に狙われやすくなっています。
荷物は体の前に抱えるようにし、切符購入中はバッグを床に置かないことをおすすめします。
サン・ロレンツォ市場周辺(San Lorenzo Market Area)
サン・ロレンツォ市場周辺は、複数人による組織的なスリに注意が必要なエリアです。
ドゥオーモから徒歩数分の場所にある大規模な露天市場で、革製品や土産物が並ぶフィレンツェを代表する観光スポットの一つです。
Fodor’s Travelは、混雑した市場内の状況がスリグループに有利に働くとして「チームで動く犯行グループが活動しているエリア」とはっきり書いています。
Wikivoyageも同様に、若者のグループが注意を引きつけながら、別の人物が財布やカメラを抜き取る手口について言及しています。
値段の交渉中や商品の試着中は特に意識が商品に向くため、バッグの管理がおろそかになりやすい状況です。
外務省も、観光地や市場が密集するエリアでの雑踏に紛れた組織的な犯行を注意点として挙げており、被害に気づくのは離れた後というケースが大半とされています。
財布はズボンの後ろポケットや外から見えるバッグのポケットに入れず、前抱えのバッグや貴重品用のポーチにまとめておくといった点を意識しておくとよいでしょう。
オルトラルノ外縁部/ポルタ・ロマーナ周辺(Oltrarno / Porta Romana periphery)
オルトラルノ外縁部からポルタ・ロマーナにかけての周辺は、夜間の一人歩きに注意が必要なエリアです。
オルトラルノはアルノ川を渡った南側に広がる地区で、ピッティ宮殿に近い中心部はカフェや小さなレストランが並ぶ落ち着いたエリアです。
一方、そこから南のポルタ・ロマーナ方向へ進むほど人通りが減り、夜間は街灯も少なくなります。
Lonely PlanetとWikivoyageはともに、この外縁部については夜間のパトロールが手薄になるとして、特に単独行動の旅行者に注意を促しています。
在イタリア日本国大使館は、フィレンツェの旧市街外縁部において夜間に日本人女性旅行者への声かけやつきまといの事案が報告されているとしています。
外務省も、夜間の繁華街やバーが集中するエリアでは飲み物への異物混入の事例が報告されているとしており、Time Out Florenceも同様の注意を掲載しています。
夜間にこのエリアへ足を運ぶ際は、人通りのある明るいルートを選び、飲み物をテーブルに置いたまま席を離れないこうした行動が、被害を遠ざけることにつながります。
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フィレンツェで治安目線でおすすめの宿泊エリア
フィレンツェは旧市街がコンパクトにまとまっている分、どのエリアに泊まるかで滞在の快適さが変わってきます。
観光の回りやすさを優先するか、静かな滞在環境を取るか、移動の効率を重視するか、自分の旅のスタイルはどれに近いでしょうか。
以下では、目的別に3つのエリアを紹介します。
【観光重視】ドゥオーモ周辺/共和国広場周辺(Duomo / Piazza della Repubblica Area)
おすすめする理由
ドゥオーモ周辺は、フィレンツェの主要観光スポットを徒歩で回りたい人におすすめのエリアです。
旧市街の中心部にあたり、ウフィツィ美術館まで徒歩約10分、アカデミア美術館まで徒歩約10〜15分、ポンテ・ヴェッキオまで徒歩約10分の距離にあります(Lonely Planet、Fodor’s Travel)。
朝一番に美術館の列に並びたい旅行者や、移動に時間をかけずに観光したい人には、このエリアを拠点にすると動きやすい環境が整っています。
ホテルは歴史的な建造物を改装したブティックホテルや4〜5つ星クラスの独立系ホテルが中心で、価格帯は中〜高めになります。
旧市街の建築規制により大型のチェーンホテルは少なく、選択肢の数も限られます。
夜の雰囲気
共和国広場周辺は、夜になってもカフェやバーが遅くまで営業しており、旅行者と地元民が行き交う賑やかな雰囲気が続きます。
ドゥオーモ広場周辺もライトアップされた大聖堂を眺めながら歩く旅行者が多く、夜間も人通りが途切れません。
Wikivoyageは旧市街中心部の夜間について「照明が整っており、レストランやジェラート店が遅くまで営業しているため人通りが続く」と伝えています。
夕食後にぶらりと歩ける環境ではありますが、観光客が集まるエリアであるため、人混みの中での荷物の扱いには引き続き注意が必要です。
【落ち着いた滞在】サンタ・クローチェ地区(Santa Croce Area)
おすすめする理由
サンタ・クローチェ地区は、観光地の喧騒から少し離れ、フィレンツェのローカルな雰囲気の中でゆっくり過ごしたい人におすすめのエリアです。
旧市街の東側に位置し、観光客向けの土産物店よりも地元のカフェ・食料品店・職人工房が多く残るエリアです。
ウフィツィ美術館まで徒歩約10分、ドゥオーモまで徒歩約15分、ポンテ・ヴェッキオまで徒歩約15分で、主要観光地へのアクセスも十分に保たれています(Fodor’s Travel、Lonely Planet)。
ホテルは中価格帯の独立系ホテルやB&B、アパートメント型の宿泊施設が中心で、ドゥオーモ周辺と比較して価格帯がやや抑えられており、選択肢の幅が広くなっています。
Fodor’s Travelは「コストパフォーマンスを重視する旅行者にも選択肢がある」と記述しています。
夜の雰囲気
サンタ・クローチェ広場に面したバーやレストランは夜になると地元の若者も集まり、活気が出てきます。
Time Outは「広場周辺は夜にフィレンツェの地元の若者も集まる活気あるエリアになる」と紹介しており、Lonely Planetも夜の食事スポットとしてこのエリアを取り上げています。
広場から一本入った路地は静かになりますが、深夜まで人の流れが続く広場周辺は夜のフィレンツェらしい雰囲気を感じやすいエリアです。
Wikivoyageにはこのエリアの夜間の治安に関する特記事項はありませんが、旧市街全体に共通するスリ対策として、バッグを前に抱えて移動する習慣は夜間も変わらず意識してください。
【交通アクセス重視】サンタ・マリア・ノヴェッラ駅周辺(Santa Maria Novella Station Area)
おすすめする理由
サンタ・マリア・ノヴェッラ駅周辺は、イタリア国内の移動効率を最優先にしたい人におすすめのエリアです。
フィレンツェ唯一の主要ターミナル駅に直結しており、ローマへはフレッチャロッサ(高速鉄道)で約1時間30分、ミラノへは約1時間45分でアクセスできます(Lonely Planet)。
ピサ空港行きのバスもこの駅を起点にしており、早朝・深夜の列車やバスを利用する旅行者にとって移動の負担が少ない立地です。
ドゥオーモへは徒歩約15〜20分、ウフィツィ美術館へは徒歩約20〜25分の距離にあります(Lonely Planet、Wikivoyage)。
ホテルは中価格帯のビジネスホテルやチェーンホテルが中心で、24時間対応のフロントを備えた施設も多く、早朝・深夜の移動に対応しやすい環境が整っています。
Lonely Planetはこのエリアを「イタリア周遊旅行者にとって移動効率が高い拠点」として紹介しています。
夜の雰囲気
駅に近い東側(旧市街方向)は夜間も人通りが続きますが、駅の西側・北側へ向かうと照明が少なくなり、静かな雰囲気に変わります(Wikivoyage、Lonely Planet)。
駅前広場は夜間も旅行者の往来がありますが、昼間と比べると人の数は減り、構内周辺は閑散とした時間帯も出てきます。
このエリアは在イタリア日本国大使館がスリ・置き引きの被害が多いエリアとして注意を呼びかけており、特に荷物の多い移動の前後は周囲への注意を怠らないようにしてください。
夜間に駅を利用する際は、切符の購入や乗り換えの確認をしている間もバッグを体の前に抱えておくことをおすすめします。
フィレンツェの治安概要
フィレンツェはルネサンス美術の都として世界中から旅行者が集まる観光都市ですが、その分だけ旅行者を狙った犯罪も発生しています。
外務省と在イタリア日本国大使館はともにフィレンツェを名指しして注意を呼びかけており、渡航前に傾向を把握しておくことが大切です。
フィレンツェに対する公的機関のアナウンス
外務省はイタリア全体の傾向として、日本人旅行者の被害の大部分はスリ・置き引き・ひったくりなどの窃盗であり、観光客が集中する都市部で発生していると伝えています。
その中でフィレンツェはローマ・ミラノと並んで被害が多い都市としてはっきり名前が挙がっています。
在イタリア日本国大使館も、フィレンツェでの日本人被害として、声をかけてきた人物に注意を引かれた隙に別の人物が荷物を盗むという手口(ディストラクション詐欺)を具体的に説明しています。
一方、外務省による危険情報の発令はなく、武力衝突やテロを主な理由とした渡航自粛の呼びかけも現時点ではありません。
公的機関が繰り返し注意を促しているのは、生命の危険に関わる犯罪ではなく、旅行者の不注意につけ込んだ窃盗犯への対策です。
フィレンツェの治安の特徴
フィレンツェの旧市街はドゥオーモを中心に半径約1km圏内にウフィツィ美術館・ポンテ・ヴェッキオ・アカデミア美術館などの主要観光地が集まっており、旅行者が同じエリアを繰り返し通る構造になっています。
年間観光客数は1,200万人を超えており(フィレンツェ市公式統計)、この人の集中が窃盗グループにとって活動しやすい環境をつくり出しています。
フィレンツェ市と警察当局は観光シーズンに旧市街・サンタ・マリア・ノヴェッラ駅周辺でのパトロールを強化しており、ドゥオーモ広場周辺には観光警察が常駐しています。
ただし、パトロールが手厚い時間帯・エリアがある一方、夜間に旧市街の外縁部へ向かうほど人通りと照明が急激に少なくなるというのがフィレンツェの地理的な特徴です。
Wikivoyageは「夜の旧市街中心部は賑やかで照明も整っているが、裏路地や外縁部に入ると状況が変わる」と伝えており、同じ市内でも場所と時間帯によって環境が大きく異なります。
春から夏の観光シーズンは旅行者数の増加に伴い犯罪件数も増える傾向があるとLonely Planet・Wikivoyageともに記述しており、この時期に訪れる場合はより意識的な行動が求められます。
フィレンツェの治安まとめ
フィレンツェは年間1,200万人以上が訪れる観光都市であり、その規模に見合った旅行者向けの犯罪が一定数発生しています。
治安は「良い・悪い」で語れるものではなく、どのエリアで、何時頃に、どう行動するかによって状況は大きく変わります。
この記事では、サンタ・マリア・ノヴェッラ駅周辺・サン・ロレンツォ市場周辺・オルトラルノ外縁部という3つの注意エリアについて、スリや組織的な窃盗、夜間の対人トラブルといった犯罪の種類ごとに整理しました。
宿泊エリアについては、観光スポットへの近さを重視するドゥオーモ周辺、ローカルな雰囲気の中で過ごすサンタ・クローチェ地区、移動効率を優先するサンタ・マリア・ノヴェッラ駅周辺の3つを紹介しています。
事前に傾向を知っておくことが、現地での行動の幅を広げることにつながります。
必要以上に身構えることなく、自分の旅のスタイルと照らし合わせながら、滞在エリアを絞り込んでみてください。
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