ワシントンD.C.への旅行を計画しながら、治安が気になって宿泊エリアをなかなか決められずにいる方は少なくありません。
路上生活者の増加や薬物問題に関する報道を目にしていれば、「観光客でも危険な目に遭うのでは」と感じるのは自然なことです。
この記事は、ワシントンD.C.の治安を「良い・悪い」で評価するものではありません。
世界40カ国以上を訪れてきた編集長の経験からも、治安は「どの場所で」「何時ごろに」「どう行動するか」によって変わるものです。
この記事では、外務省をはじめとする公的情報をもとにワシントンD.C.で注意が必要なエリアを整理した上で、治安の面も踏まえながら旅の目的別におすすめの宿泊エリアを紹介します。
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ワシントンD.C.で注意が必要と言われるエリア
ワシントンD.C.は国の首都でありながら、エリアによって治安状況が大きく異なります。
観光スポットが集まるエリアから少し外れるだけで、注意が必要な地区に入ってしまうこともあるため、事前にどのエリアに気をつけるべきかを把握しておくことが大切です。
アナコスティア(Anacostia)
アナコスティアは、旅行者が立ち寄る際に暴力犯罪への注意が特に必要なエリアです。
ポトマック川の東岸に位置し、ナショナル・モールなど観光客が多く集まるエリアとは川を挟んで反対側にあります。
Wikivoyageはアナコスティアを、市内で暴力犯罪の発生率が最も高い地区のひとつとしてはっきり名指しで記載しており、特別な目的がない限り訪問を避けるよう明記しています。
在米国日本国大使館が公開している安全の手引きでも、ポトマック川東岸の一部地区では暴力犯罪の発生率が高いとして注意を促しています。
観光の目的地としてこのエリアを訪れる機会は少ないものの、乗り継ぎや移動中に誤って足を踏み入れないよう、地図で位置をあらかじめ確認しておくことをおすすめします。
ショウ / Uストリート周辺(Shaw / U Street Corridor)
ショウとユー・ストリート周辺は、夜間のスリや財物犯罪に注意が必要なエリアです。
バーやライブハウスが集まるナイトライフの中心地として知られており、夜になると多くの人が集まります。
Fodor’s Travelは、このエリアが夜間に人が多く集まる性質上、スリや財物犯罪が発生しやすい環境にあるとして、夜間の警戒を促しています。
外務省の海外安全情報でも、大都市の夜間繁華街では財物犯罪や暴行が起きやすいとして注意が呼びかけられており、こうした傾向はこのエリアにも当てはまります。
混雑した場所ではバッグを体の前で持ち、貴重品をまとめてひとつのバッグに入れないといった点を意識しておくとよいでしょう。
ユニオン・ステーション周辺 / Hストリート北東(Union Station Surrounding / H Street NE)
ユニオン・ステーション周辺とその北東方向は、到着直後の置き引きやスリに注意が必要なエリアです。
ユニオン・ステーションは空港バスや長距離鉄道アムトラックが発着する交通のターミナルで、多くの旅行者がD.C.入りの際に利用します。
Wikivoyageは、ユニオン・ステーション自体は比較的安全である一方、駅を出て北東のHストリート方面に向かうにつれ治安が不安定なエリアに入ることを明記しています。
Fodor’s Travelも同様に、ターミナル周辺のブロックでは財物犯罪が起きやすく、駅から離れた方向への不用意な徒歩移動には注意が必要だとしています。
外務省の海外安全情報でも、交通ターミナルや駅周辺での置き引きやスリへの注意が呼びかけられており、大きな荷物を持ちながら土地勘のない場所を歩く到着直後は特にリスクが高まります。
駅を出る前に目的地への経路を確認し、荷物から目を離さないよう心がけることが、被害を遠ざけることにつながります。
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ワシントンD.C.で治安目線でおすすめの宿泊エリア
観光を効率よく回りたいのか、落ち着いた雰囲気の中でゆっくり過ごしたいのか、それとも他都市への移動のしやすさを優先したいのか。
宿泊エリアを決める前に、自分の旅のスタイルを確認しておくと、エリア選びの方向性が見えてきます。
ここでは治安の面も踏まえながら、目的別に3つのエリアを紹介します。
【観光重視】ナショナル・モール周辺(National Mall Area)
おすすめする理由
ナショナル・モール周辺は、主要観光スポットをできる限り徒歩で回りたい人におすすめのエリアです。
スミソニアン博物館群の各館はモール沿いに並んでおり、宿泊エリアからそのまま歩いて向かうことができます。
ホワイトハウスも徒歩10〜15分圏内にあり、移動の手間を最小限にして観光に時間を使いたい人に向いています。
エリアには大型チェーンホテルや高級ホテルが集積しており、連邦政府関係者や外交関係者も多く利用するためセキュリティ水準の高い施設が多い傾向にあります。
価格帯はD.C.内でも高めで、コストよりもアクセスと環境を優先する旅行者に選ばれやすいエリアです。
夜の雰囲気
日が暮れると、モール沿いのエリアは昼間と比べて人通りが著しく減ります。
ライトアップされたリンカーン記念堂やワシントン記念塔を見に来る旅行者は一定数いますが、広大なモールは夜間に人が少なく、昼間とは異なる静けさがあります。
夜にレストランやバーで食事を楽しみたい場合は、モールから少し北側のペン・クォーター方面に飲食店が集まっており、夜間も人通りが保たれています。
ホテルとレストランの間をモール沿いに歩いて移動する場合は、人通りが少ない時間帯には注意が必要です。
【落ち着いた滞在】ジョージタウン(Georgetown)
おすすめする理由
ジョージタウンは、観光地エリアの混雑を避け、落ち着いた雰囲気の中でD.C.滞在を楽しみたい人におすすめのエリアです。
ポトマック川沿いに位置し、石畳の通りと連邦式の邸宅建築が並ぶ歴史的な街並みが特徴で、独立系のショップやレストランが軒を連ねています。
地下鉄の駅が直近にないため、ナショナル・モール方面へはバスまたはタクシー・配車アプリを使うことになります。
一方で、駅がないことで旅行者の密度が低く抑えられており、ローカルな日常の空気感が残るエリアでもあります。
ホテルはブティックホテルや小規模な高級ホテルが中心で、歴史的な建築を活かした施設が多く、大型チェーンホテルは少ない傾向にあります。
Lonely PlanetやFodor’s Travelはジョージタウンを「D.C.で最も魅力的な地区のひとつ」として紹介しており、滞在体験の質を重視する旅行者から支持されているエリアです。
夜の雰囲気
夜になると、メイン通りであるMストリート沿いのレストランやバーに地元の人と旅行者が集まり、適度な賑わいが生まれます。
Time Outはジョージタウンをダイニングとショッピングの中心地として紹介しており、ディナーの時間帯は通りに人が出ている状態が続きます。
観光地的な喧騒とは異なる落ち着いたトーンの夜で、食事を終えた後も通りの人通りが途絶えにくいのが特徴です。
深夜に移動が必要な場合は、地下鉄が使えないためタクシーや配車アプリが現実的な選択肢になります。
【交通アクセス重視】キャピトル・ヒル/ユニオン・ステーション周辺(Capitol Hill / Union Station Area)
おすすめする理由
キャピトル・ヒルとユニオン・ステーション周辺は、市内各所への移動効率と他都市へのアクセスを優先したい人におすすめのエリアです。
ユニオン・ステーションはアムトラックの長距離鉄道や空港連絡バスが発着する交通の拠点で、地下鉄レッドラインの駅が直結しています。
ニューヨーク・ボストン・フィラデルフィアなど東海岸の都市を周遊する旅程に組み込む場合、列車での移動が多い旅行者には特に利便性が高い立地です。
市内の地下鉄6路線へのアクセスもしやすく、デュポン・サークルやジョージタウン方面へもバスやタクシーで行き来できます。
議会議事堂も徒歩圏内にあり、観光と移動の両面を押さえたいという旅行者に向いています。
ホテルは大型チェーンホテルやビジネスホテルが中心で、ナショナル・モール周辺やジョージタウンと比べると宿泊費がやや抑えられている傾向にあります。
夜の雰囲気
ユニオン・ステーション内のレストランやフードコートは夜間も営業しており、ステーション内は遅い時間まで人の流れがあります。
駅舎の周辺、特にキャピトル・ヒル側は夜になると落ち着いた雰囲気になり、昼間と比べて人通りが減ります。
ステーションから北東のHストリート方面は、夜間に不用意に歩いて向かうことをWikivoyageが避けるよう記載しており、夜間の徒歩移動はユニオン・ステーション周辺にとどめておくのが無難です。
食事はユニオン・ステーション内か、タクシー・配車アプリでペン・クォーターやキャピトル・ヒル周辺のレストランへ向かう旅行者が多い傾向にあります。
ワシントンD.C.の治安概要
ワシントンD.C.は年間約2,400万人が訪れる国際的な観光都市ですが、エリアによって治安状況が大きく異なります。
旅行前にどのような犯罪が起きやすく、どのエリアで注意が必要かを把握しておくことが、現地での行動の基準になります。
ワシントンD.C.に対する公的機関のアナウンス
外務省は米国全土に対して危険情報を発令しておらず、ワシントンD.C.固有の危険情報の指定もありません。
一方で、外務省は国全体の傾向として「大都市を中心に銃犯罪・強盗・窃盗などが多発している」と記載しており、都市によって治安状況が大きく異なる点に注意を呼びかけています。
在米国日本国大使館が公開している安全の手引きでは、日本人旅行者が被害に遭いやすい犯罪として、スリ・置き引き・強盗・車上荒らしを挙げています。
観光地周辺・公共交通機関の車内・ホテルのロビーといった旅行者が多く集まる場所での財物犯罪が目立つとされています。
ワシントンD.C.の治安の特徴
ワシントンD.C.の治安を考える上で押さえておきたいのは、観光エリアと生活水準が低い地区が近距離で隣接しているという都市の構造です。
ナショナル・モールやジョージタウン、デュポン・サークルなど旅行者が多く集まるエリアには、D.C.メトロポリタン警察や連邦の警備員が常時展開しており、目に見える形で警備が行われています。
一方、そうしたエリアから少し外れると、街の雰囲気が大きく変わる場所もあります。
また、夜間は同じエリアでも昼間とは状況が変わります。
ショウやアダムズ・モーガンなどナイトライフが集まるエリアは夜になると人が増え、混雑に乗じた財物犯罪が起きやすい環境になります。
ナショナル・モールは夜間も開放されていますが、日没後は人通りが著しく減り、昼間とは異なる注意が必要です。
ユニオン・ステーションのような交通ターミナルでは、大きな荷物を持ちながら土地勘のない状態で行動する到着直後のタイミングが、特に財物犯罪の被害に遭いやすい場面とされています。
ワシントンD.C.の治安まとめ
ワシントンD.C.は、観光客が集まるエリアと生活水準が低い地区が近距離で隣接しているという、エリア間の格差が大きい都市です。
治安は都市全体で一律に評価できるものではなく、「どのエリアにいるか」「何時ごろか」「どう行動するか」によって状況が変わります。
注意が必要なエリアについては、アナコスティアのような暴力犯罪の発生率が高い地区から、ショウ・ユー・ストリート周辺の夜間の財物犯罪、ユニオン・ステーション周辺での到着直後の置き引きまで、それぞれ異なる性格があります。
宿泊エリアについては、観光スポットへの近さを優先するか、落ち着いた滞在環境を求めるか、交通アクセスの効率を重視するかによって、向いているエリアが変わってきます。
必要以上に身構えることなく、自分の旅のスタイルと照らし合わせながら、滞在エリアを絞り込んでみてください。
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